【サブコン各社を徹底調査】大手空調・衛生設備各社の特徴と比較 2021年度版

業界・キャリア

サブコン各社を比較

ここからは紹介してきた各社の様々なデータを比較してみます。表でまとめて見ると様々な側面が見えてきますが下記の表は連結の完成工事高順に各社を並べたものです。2020年度と比較して増えたものについては赤太文字、10%以上低下した項目については青太文字で表現しています。

会社名完工高(連)完工高(単)設備事業の売上従業員数(連)従業員数(単)平均年収1人あたりの売上
高砂熱学302,746220,622211,7316,0182,131889.7103.5
新菱冷熱233,297183,955非公開5,4532,252889.081.7
大気社209,261209,26191,6435,0791,5551,033.869.1
三機工業193,189107,435171,3142,6072,096857.382.8
ダイダン162,929161,126161,1261,7271,578937.0102.1
新日空106,71892,04992,0491,5851,103908.583.5
日比谷75,49767,09967,009961801870.183.8
三建設備非公開75,09575,095非公開1,299835.057.8
朝日工業68,82067,29761,771987939799.371.7
東洋熱非公開66,68066,680非公開812915.082.1
斎久非公開4329943,299非公開498非公開86.9
単位:百万円   *全従業員の平均

比較① 2019-21年度 完成工事高

ここからは表を項目別に比較したものを紹介します。

今回含めて3年分のデータが揃ってきたので2019年度(コロナ前)、2020(コロナ最盛期)とも比較できるようにデータを集計してみました。

まずは連結での完成工事高です。

続いて2021年度単体セグメントの完成工事高。

コロナ最盛期だった2020年度実績よりはやや回復傾向にはあるようですが、2019年度実績にはまだ及ばず回復はしきれていません。

大気社は単体ではほぼ横ばいですが連結では伸びています。海外事業の売上が多い大気社ですからそちらの需要も回復してきているのだと推測します。

完成工事高から情勢を見る
  • 11社中10社は2020年度と比較して横ばいか回復傾向
  • コロナ前である2019年度の業績にはまだ及ばない
  • 海外部門も回復傾向

比較② 2019-21年度 受注高

コロナ最盛期であった2020年度と比較してあまり業績は回復していない空調衛生業界。とはいえ建設工事は長期のプロジェクトになるので、受注をしても業績に反映されるまでのタイムラグがあります。

2021年度の受注高を確認することで来年度、再来年度の様子が見えてきます。(三建設備と斎久工業は情報がありませんので割愛。)

まずは連結の場合の比較

続いて設備セグメント単体の比較。

どの会社も連結・単体共に2021は大きく伸びています。このまま完成工事高に繋がってくれば2,3年後にはコロナ前の業績を上回ることも可能かもしれません。

国内・海外ともにコロナの影響は減ってきている、感染症対策と経済活動を両立しながら世の中も動いてきているといっていいのでしょう。

高砂熱学と大気社も多きく伸びていますが、ダイダンに勢いがあると感じます。何でも職人の手配が付かないほど仕事を多く受注しているのだとか。うらやましい限りです。

受注高から情勢を見る
  • 連結・単体共に2020年度を大きく上回る受注がある
  • 国内・海外ともに経済活動が正常化しつつある
  • 完成工事高まで反映されるのはまだ2,3年後か?

比較③ 2019-21年度 平均年収推移

従業員数については需要の回復を踏まえて今年度は順調に伸びているようです。前回までは従業員数の比較をしていましたが今回は平均年収の比較をしてみたいと思います。(一部情報がなかった部分があります。)

2021年度の年収についていうと大気社が落としてしまいました。(しかしダントツの1位)朝日工業社も大型物件が終わって仕事が薄いのか、2019年と比較すればさみしい感じですね。全体の需要回復を踏まえると2022年度は回復して欲しいところです。

逆に大きく伸びたのが日比谷総合設備。昨年・一昨年と比較して200万円も上がっています。もしかしたら他社と同じ水準まで引き上げるようにしたのかもしれませんね。

先にも記載しましたが、新菱冷熱にあっては6%の賃上げを行います。今は人材確保が困難ですから平均年収や働き方に魅力がある会社でないと生き残っていけないのかもしれません。

平均年収で情勢を見る
  • 大気社が大手サブコンの中では最も平均年収が高い
  • 日比谷総合設備の平均年収が大きく上がり、大手は最低でも平均年収は約800万円以上となった

比較④ 2019-21年度 1人あたりの完成工事高

従業員1人あたりの完工高についても2019-21年度で比較してみます。算出条件は以下の通りです。

(単体会社完成工事高)÷(従業員数)

2019年度から集計していますが、コロナの影響もあって完成工事高が伸びない中従業員は増えているので数字は当然小さくなってきています。

本当は各会社の構成(施工管理の人数など)が分かってくるともっと色々と評価できるのですが・・・。今のところ一概にはどうだと言えない数字です。

ただ社員全体でワンチーム、と考えると高砂熱学とダイダンは毎度安定して高単価の仕事を捌けているか、社内体制がしっかりしていて現場担当1人あたりの売上が高いような印象を受けます。

従業員あたりの完工高で情勢を見る
  • 全体的に完成工事高の減少と従業員数の増加があるので数字はちいさくなってきている
  • ダイダン、高砂熱学はガッチリ
  • 大気社は国内の設備工事単価は良くないものの他での恩恵がありそう
  • 三建設備工業は相変わらず1人あたりの稼ぎが少ない

最後に

いかがでしたか?2021年度版として空調・衛生工事主体の大手・準大手サブコンを様々な数字を交えながら紹介してみました。

普段中期経営計画や有価証券報告書など客観的な会社資料を見る機会の少ない施工管理向けに書いているこの記事なのですが、意外と就活生も見ているのかもしれません。2~6月頃のアクセス数が結構ありまして・・・。

私もある程度ここに紹介している会社の人と仕事をしたことがありますし、何となく会社の内情もイメージできています。あえて就活生向けにコメントをするなら

「この中でも上位6社はさすが」

「施工管理の大変さはどこもさほど変わらないけれど大きい仕事の方が人数でお互いをカバーしあえる」

とだけ言っておきます。隣の芝生は何とかってやつかもしれませんが。

今後についてはコロナ禍の影響はほぼ無くなったものの、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価上昇やアメリカ経済のリセッションも見込まれるなど情勢変化がどう影響してくるのか・・・一筋縄には予測はできません。

とにかく現場の施工管理においては毎日の業務に誠心誠意取り組んでいくしかないですね。ご安全に!