【サブコン各社を徹底調査】大手空調・衛生設備各社の特徴と比較 2019年度版

業界・キャリア

大手サブコン 比較 2019年度

ここでは空調・衛生設備工事を主力事業とする大手、準大手を中心の建築設備会社を紹介します。

この業界に従事している、またはこれから従事しようとしている人にとっては名前くらいは聞いたことがあると思いますがどんな違いがあるかまで分かっている方は少ないのではないでしょうか?

各企業の特色、規模、平均年収、調べる中で気になったフレーズ(勝手にキャッチフレーズとしました)を簡単にまとめました。比較することで各企業の大まかなイメージが湧くと共に違った一面も見えてきます。是非ご覧ください。

こんな人におすすめ

  • 設備業界に興味を持っている人
  • 設備業界への就職を考えている学生
  • 設備業界に従事しているが他の会社の事も気になる人

注意事項:各企業のHPや2019年度有価証券報告書を参考にしながら記事を書いています。従業員人数・平均年収・関連会社などは資料によって異なっており、正確な数字を表しているものではありません。参考程度としてください。また、キャッチフレーズについても筆者がHP等で見かけたワードで気になったものを拾っています。各企業が意図したものと異なる場合がありますのでご了承ください。

高砂熱学工業株式会社

引用元:高砂熱学工業㈱HPより

高砂熱学工業㈱は一般空調設備や産業空調設備を主力事業とし、建築設備(空調・衛生)業界最大手の企業です。その歴史も深く、2023年には創業100周年を迎えます。日本で最初のヒートポンプ暖房設備を設置したり、国産第1号のターボ冷凍機(高砂荏原ターボ冷凍機)をはじめとして、エアワッシャ、シロッコ型送風機や冷却塔など数多くを開発してきたパイオニアでもあります。

2020年には「高砂熱学イノベーションセンター」を総額125.6億円かけて創設するなど次世代へ向けた研究に力を入れています。最近ではIOTを駆使した新しいエネルギーマネジメントシステムの開発や、アルミニウム冷媒配管を主導するなど業界を牽引する存在となっています。オフィスデザインやユニフォームを刷新するなど働き方改革にも注力しています。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結3,208.9億円 単体2,364.4億円

【従業員】連結5,852名 単体2,123名(2020年12月現在)

【平均年収】878万円(42歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】東京本店、横浜支店、関信越支店、東北支店、札幌支店、大阪支店、名古屋支店、中四国支店、九州支店、ミャンマー支店

【グループ・関連企業】国内7社、海外9社

【社是】人の和と創意で社会に貢献

【キャッチフレーズ】この星の空気をつくる、まもる。

【HP】https://www.tte-net.com/index.html

新菱冷熱工業株式会社

引用元:新菱冷熱工業㈱HPより

新菱冷熱工業㈱は使われている漢字から某旧財閥系をイメージするかもしれませんが、独立系です。ただ三菱重工業㈱が最大の出資元となっており、その繋がりで一般空調以外にもプラントなどを始めとした大規模な産業空調を主力事業とする企業となっています。中でも水族館の他、地域冷暖房で最も実績のある会社となっています。(地域冷暖房とは1つのエネルギープラントからそのエリアの複数の建物へ電気や熱を供給するシステムです。)

創業以来「人は最大の財産」の考え、新入社員教育も丸1年かけて行うなど「人財育成」に力を入れています。社員寮での生活を通じで社風を受け継いでいるとのことです。(以前は自衛隊研修もあったようですが、今は行っていないのでしょうか?)衛生工事の老舗企業である㈱城口研究所をグループ傘下としています。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結2,288.8億円 単体1,763.1億円

【従業員】連結5,191名 単体2,242名(2020年9月現在)

【平均年収】926万円(43.6歳・総合職。時期不明)

【事業所】北海道支社、東北支社、丸の内支社、横浜支社、北陸支社、名古屋支社、大阪支社、九州支社、名古屋支社、中国支社、海外拠点6ヵ国に支社・営業所

【グループ・関連企業】国内8社、海外10社

【社是】一、正しからざることに与するな 一、あらん限りの誠実を尽くせ 一、学歴年令を問わない 実力ある者が指揮をとれ

【キャッチフレーズ】心地よい場所を、ひとつずつ。

【HP】https://www.shinryo.com/

三機工業株式会社

引用元:三機工業㈱HPより

三機工業㈱は旧三井物産㈱機械部を母体とし、1925年に創立した歴史ある企業です。建築設備事業以外にも、産業機械、環境施設事業を主力事業としています。当時は炭鉱が盛んで、日本で最初にベルトコンベヤーを輸入・販売・製造した会社でもあります。2012年には「スマートビル」を提供するスマートビルソリューション部を立ち上げる等、省エネ事業にも注力しています。

2018年に神奈川県大和市に総合研修・研究施設「三機テクノセンター」を建立。2019年には同市に機械システム事業の主力生産拠点である「大和プロテクトセンター」を本格稼働するなど、積極的な設備投資、人材育成を行っています。「未来を開く三機の技術」や「目指すのは『選ばれる』会社」などをキャッチフレーズとしており、「未来」や「社会との関係性」を意識した経営をしている印象を受けました。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結2,076.8億円 単体1,860.9億円

【従業員】連結2,582名 単体2,060名(2020年12月現在)

【平均年収】913万円(43.2歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】東京支社、横浜支店、関東支店、北海道支店、東北支店、北陸支店、中部支店、静岡支店、豊田支店、三河支店、関西支社、京都支店、神戸支店、四国支店、中国支店、九州支店、オーストリアオフィス

【グループ・関連企業】国内6社、海外4社

【経営理念】エンジニアリングをつうじて快適環境を創造し広く社会の発展に貢献する

【キャッチフレーズ】Engineering for the Future

【HP】https://www.sanki.co.jp/

ダイダン株式会社

引用元:ダイダン㈱HPより

ダイダン㈱は1903年創業と建築設備業界の中では最も歴史のある企業です。工業生産に必要な各種機械、電気器具、鉄材、石炭等の販売を目的とした「菅谷商店」から始まり、(中略)「大阪電気暖房㈱」を経て1987年から「ダイダン㈱」となりました。他の大手企業とは異なり、主力事業は建築設備部門(一般空調・産業空調)のみとなっています。一見「伝統」や「硬派」なイメージがありそうですが、採用ページには「若手にもどんどん仕事を任せる社風」と謳っており、大阪発祥ならではの勢いがありつつ自由な社風である印象を受けます。

地球環境の保全に貢献するため、九州支社と四国支店をZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)に建て替えた他、IOT/AI技術を駆使したスマートビル制御システムの開発などに注力しています。様々な分野で先駆けとなっており、1960年には当時建設業では浸透していない健康保険組合を設立、2021年には工事現場を3次元(3D)の施工データに変換する技術を導入することを発表。複合現実(MR)端末の導入など2024年3月期までに200億円を投じ、現場作業のデジタル化や働き方改革、新技術の開発を進めています。2020年には優れたデジタル活用がされているとする「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」35社の1社に選ばれています。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結1,692.2億円 単体1,672.4億円

【従業員】連結1,659名 単体1,540名(2020年12月現在)

【平均年収】924万円(42.7歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】北海道支店、東北支店、新潟支店、東京本社、名古屋支社、北陸支店、大阪本社、中国支店、四国支店、九州支社、シンガポール支店

【グループ・関連企業】国内9社、海外2社

【社是】真剣努力、思考創造、協力和合、信義礼節、誠実感謝

【キャッチフレーズ】建物の「いのち」をつくる

【HP】https://www.daidan.co.jp/

株式会社大気社

引用元:㈱大気社HPより

㈱大気社は1913年に「ドイツ製兼材料及び設備の輸入販売並びに諸機材取り付け工事」を主たる目的として創業しました。1952年から塗装プラント事業も手掛け、建築設備事業と並び主力事業となっています。塗装プラント事業を行っているためか、特に目を引くのが海外の関連会社の多さです。企業の長期計画においても「グローバル事業領域の拡大」を明言しており、完成工事高2,253億円のうち海外が930億円となっています。(会社の規模・売上と比較して見かける機会が少ないのはこういった理由かもしれません。)

技術面では直膨空調システムの拡充や太陽光エネルギー有効利用などを進める一方、今まで培ってきた照明・空調制御技術を用いて完全人光型・水耕栽培植物工場である「ベジファクトリー」を展開しています。建築設備業界の中では多彩な事業を行う異色系かもしれません。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結2,253.7億円 単体1,326.3億円

【従業員】連結5,080名 単体1,640名(2020年12月現在)

【平均年収】1,076万円(43.6歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】札幌支店、東北支店、関東支店、東京支社、横浜支店、中部支店、大阪支社、中国支店、九州支店

【グループ・関連会社】国内4社、海外51社

【社是】顧客第一

【キャッチフレーズ】空気を操る技術、空気に意思を

【HP】https://www.taikisha.co.jp/index.html

新日本空調株式会社

引用元:新日本空調㈱HPより

新日本空調㈱は三井物産㈱の斡旋を経て1930年に東洋キヤリア工業㈱として創業しました。世界初の全列車空調、全船空調施工を行うなど歴史のある企業です。当時は空調機器の製造・販売と工事部門がありましたが、1969年に工事部門を分離独立させて今の新日本空調㈱の体制となっています。一般空調・産業空調以外だと原子力事業が特徴的。

技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組むことを方針としており、浜松ホトニクス㈱との協業体制の下、微粒子可視化技術を核とした「ビジュアルソリューション事業」の深耕等にも注力しているようです。また、社長をはじめ、役員にはリニューアル事業部出身者が多く名前を連ねており、会社におけるその重要度を感じさせます。社会に対して真摯な姿勢を持ち社員にも優しい(各種手当が充実)優等生でまさに三井グループの会社といった印象です。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結1,201.0億円 単体996.4億円

【従業員】連結1,626名 単体1,096名(2020年12月現在)

【平均年収】793万円(44.2歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】北海道支店、東北支店、関東支店、東京本社、横浜支店、名古屋支店、大阪支店、中国支店、九州支店

【グループ・関連会社】国内2社、海外3社

【企業理念】「使命」と「価値観」

【キャッチフレーズ】(採用HPより)前線第一主義

【HP】https://www.snk.co.jp/

株式会社朝日工業社

㈱朝日工業社は1925年に大阪で紡績会社の温湿度調整、噴霧給湿、除塵装置等の施工を目的に創業しました。建築設備工事を主力事業としていますが、その技術を生かして半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置向け精密環境制御機器を主とした環境機器の製造・販売を行っています。

近年はZEB実現に向けた潜熱・顕熱分離空調の開発や、3Dスキャナを用いた既存建築設備のCAD化、自動墨だし器の有効活用等ICT技術を積極的に利用する取り組みに注力。また同業他社に先駆けて1996年からアグリ分野にも進出しており、あらゆる段階における植物栽培環境の最適空調システムの技術開発等を行っています。新入社員研修では約1年半もの期間を設けたり、自己啓発として会社が一定金額負担する通信教育も整っているなど社員教育にも力を入れています。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結1,039.6億円 単体1,014.2億円

【従業員】連結1,002名 単体958名(2020年12月現在)

【平均年収】877万円(44.9歳・総合職。2020年12月現在)

【事業所】東京本社、北海道支店、東北支店、北関東支店、東関東支店、横浜支店、名古屋支店、大阪支社、中国支店、九州支店

【グループ・関連会社】国内2社、海外2社

【企業理念】快適環境・最適空間の創造

【キャッチフレーズ】「心地よい」が当たり前の世界に。

【HP】https://www.asahikogyosha.co.jp/

東洋熱工業株式会社

引用元:東洋熱工業㈱HPより

「東熱」でお馴染みの東洋熱工業㈱は1937年に創業。非上場の独立系企業です。ラジオ・テレビスタジオの空調施工を早くから手掛けた経験から1957年に世界最初のエルボ型消音器を開発。その後すべての空調設備の消音装置として採用される事になった他、1964年には他社に先駆けてクリーンルーム技術を研究開発・施工を行うなど空調において確固たる技術を持っています。

近年では熱源システム全体の最適制御を行うE-SCATや熱源システムと連携した排熱の有効利用を図るC-SCATなど、空調の省エネルギー技術の開発に注力しているようです。新入社員教育面では4年目まで毎年研修がある他、職場でのOJTとは別に「メンター制度」というものがあり、年の近い先輩社員がフォローをしてくれます。現場だとどうしても年の離れた代理人と一緒になるのでこういった面でも社員のケアをする風土があると感じられます。

企業情報

【2019年度完成工事高】874.5億円

【従業員】805名(2020年3月現在)

【平均年収】877万円(44.9歳・総合職。時期不明)

【事業所】東京本店、札幌支店、東北支店、関東支店、横浜支店、名古屋支店、大阪支店、中国支店、九州支店

【グループ・関連会社】国内2社、海外5社

【経営理念】環境に、社会に、文化に、責任ある企業として調和のとれた発展を目指す。

【キャッチフレーズ】技術を、人と地球のために

【HP】https://www.tonets.co.jp/

三建設備工業株式会社

引用元:三建設備工業㈱HPより

三建設備工業㈱は1946年に創業した、非上場の独立系企業です。いち早くZEBの技術開発に取り組み、つくばみらい技術センターでは、2013年度実績で全館のZEBを達成しています。(ダイダン、新日本空調、新菱冷熱工業と共に空調衛生工学会発行の「ZEB先進事例集」でも紹介されています。)そして2018年には北海道支店を寒冷型のZEBとして建設するなど経営理念である「環境創造企業」として突き進んでいるようです。

HPを覗くとトップページに女性の施工管理の方が全面に出てくるなど、この会社で働く「人」こそ主役であり事業を行う上で最も重視しているものだという印象を強く感じます。社長のメッセージにも「自動化が進みAIが発達しても働く人が心豊かな生活を送ってこそ、顧客に継続して安心と信頼をいただける環境やサービスを提供することができる」とあり、人材を大切にする伝統があるのだろうと感じます。従業員も同規模の会社と比較すると際立って多いのはそのせいでしょうか?

企業情報

【2019年度完成工事高】798.0億円

【従業員】1,231名(2020年4月現在)

【平均年収】893万円(44.3歳・総合職。時期不明)

【事業所】北海道支店、東北支店、東京支店、北関東支店、東関東支店、横浜支店、名古屋支店、大阪支店、中国支店、九州支店、バンコクオフィス

【グループ・関連会社】国内7社

【経営理念】環境創造企業

【キャッチフレーズ】いつも、二度とない仕事。

【HP】https://skk.jp/

日比谷総合設備株式会社

引用元:日比谷総合設備㈱HPより

日比谷総合設備㈱は1966年に創業。その名の通り、東京都内の大規模現場で多くの実績を持っています。データセンタ関連の技術開発、分散した各設備を統合管理(システムインテグレーション)、ZEB化関連技術の開発に注力しているようです。

近年では女性社員の積極的な採用と幹部社員への登用を行動計画にあげるなど、『女性活躍』への取り組みやキャリアプラン・研修制度の充実に注力しています。産休・育休フォロー対話会という試みでは先輩ママさんも参加し、職場復帰へのフォロー体制や個人の悩みについての話し合いが行われ、スムーズな職場復帰を実現しているとのこと。

企業情報

【2019年度完成工事高】連結758.9億円 単体664.0億円

【従業員】連結983名、単体808名(2020年9月現在)

【平均年収】633万円(45.0歳・全従業員。2020年9月現在)

【事業所】東京本店、北海道支店、東北支店、横浜支店、東海支店、北陸支店、関西支店、中国支店、四国支店、九州支店、沖縄支店

【グループ・関連会社】国内3社

【経営理念】HIBIYA Vision(詳しくはHP参照)

【キャッチフレーズ】時代にまっすぐ、技術にまじめです。

【HP】http://www.hibiya-eng.co.jp/home

斎久工業株式会社

斎久工業といえば衛生、衛生といえば斎久工業というイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?斎久工業㈱は、給排水衛生設備分野の第一人者として1923年に創業、まもなく創業100周年を迎えます。名前の由来は創業者の齋藤久孝より。名だたる超高層ビルを始め東京スカイツリーの衛生設備工事も手掛けており確かな技術を持っています。

研究面ではトイレ・サニタリーの設置場所を自由に選べる「どこでもエース」という製品を開発(排水・汚水槽が不要となる)。1996年にリニューアル部を設立し、マンションのリニューアル分野でも多くの実績を持っています。

企業情報

【2019年度完成工事高】531.9億円

【従業員】499名(2021年3月現在)

【平均年収】737万円(42.4歳・全従業員。時期不明)

【事業所】札幌支店、東北支店、東京支社、東関東支店、横浜支店、名古屋支店、関西支社、岡山支店、広島支店、四国支店、九州支店

【グループ・関連会社】情報なし

【経営理念】快適で安全な生活を支える高品質な設備およびサービスを提供する。

【キャッチフレーズ】水とともに、さらなる「信頼」と「品質」をめざして。

【HP】http://www.saikyu.co.jp/index.html

サブコン各社を比較

ここからは紹介してきた各社の様々なデータを比較してみます。従業員数や完成工事高を会社ごとに見ても大きい規模だなあ・・・程度しか感じないのですが、表でまとめて見ると様々な側面が見えてきます。下記の表は連結の完成工事高順に各社を並べたものです。これから着目する数字は赤文字としています。

会社名完工高(連)完工高(単)設備事業の売上従業員数(連)従業員数(単)平均年収1人あたりの売上
高砂熱学320,893236,446164,2565,8522,123878111.4
新菱冷熱228,884176,310非公開5,1912,24292678.6
大気社225,378132,630115,7075,0801,6401,07680.9
三機工業207,684186,091161,6962,5822,06091390.3
ダイダン169,229167,245167,2451,6591,540924108.6
新日空120,10699,64399,6431,6261,09679390.9
朝日工業103,964101,42990,4791,002958877105.9
東洋熱非公開87,45387,453非公開805928108.6
三建設備非公開79,80779,807非公開1,23189364.8
日比谷75,89066,40566,405983808633*82.2
斎久非公開53,19853,198非公開506737*105.1
単位:百万円   *全従業員の平均

比較① 完成工事高

ここからは表を項目別に比較したものを紹介します。まずは完成工事高です。

例えば大気社に関して言うと、連結の完成工事高は3番目の規模になりますが企業単体では5番目になります。これはもう1つの主力事業でもある塗装プラント事業が海外のグループ会社で多くを売り上げているためです。このように連結での売り上げが大きい企業は設備事業以外の機器製造・販売などの事業や海外での売り上げをある程度持っていることが分かります。

比較② 設備事業単体の完成工事高

有価証券報告書を覗くともう少し細かいデータが掲載されています。1つの会社といっても様々な事業を手掛けていますので、セグメント別(主力事業別)に決算をまとめています。例えば上の大気社を見れば設備事業以外にも塗装プラント事業が全体の大きな割合を占めています。ここでは単純に連結を覗いた企業単体かつ建築設備事業(一般空調・産業空調)のみを抽出したデータを紹介します。式にすると

連結完工高)-(連結会社の完工高)-(一般空調・産業空調以外の売上高)

になります。

新菱冷熱は非上場企業で情報が細かく出ていませんでした。(おそらく4番手の数字になってくると思われますが。)同様に東洋熱工業・三建設備工業・斎久工業も非上場でデータが無いのですが、事業内容と規模を見る限り会社全体で単一セグメントと見なしても結果には影響しないと判断しました。

気になったのは連結決算で特に完成工事高が大きかった6社までのうち、ダイダンだけは設備単一セグメントでした。設備工事だけに注目するとダイダンの規模はぐっと上位になります。

評価の仕方は色々あると思います。例えばダイダンは他の事業でカバーしなくても設備工事だけで勝負できるだけの技術力を持ち合わせている、設備単体セグメントで完成工事高が少ない企業ても他の事業との相乗効果で大きな売り上げになっている等が言えるかと思います。

企業単体での建築設備セグメントで比較

  • ダイダンは設備事業だけで勝負している。
  • 設備単体ではダイダンの順位がぐっと上がる。
  • 設備単体セグメントが少ない会社でも他事業で相乗効果が出ている。

比較③ 従業員数

次は従業員数も企業の規模を図る上での参考になります。

サブコン 従業員数比較

上位3社は連結企業(グループ関連・子会社)の人数が多いですね。これは大気社のように海外子会社が多いと現地雇用の人員がいるためと思われます。連結分の売上に対する人員が明らかに多いですよね。三機工業と新日空は海外子会社はそれぞれ4社、3社と少なめです。

ここで分かるのは企業単体で見ると高砂熱学・新菱冷熱・三機工業あたりは従業員数があまり変わりません。それでいて完工高に差が出ています。特出するべきは三建設備で、単体だけで見ると新日空より多い従業員数になっています。三建設備は新日空より20%以上完工高が低いのに従業員数は10%程度も多いのです。こうすると次は従業員1人あたりの完工高を比較したくなってきます。

従業員数で比較

  • 連結が多い企業は海外子会社も多い。
  • 同じような従業員数でも完工高に差が出ている。
  • 特に三建設備が従業員数の割に完工高が少なく感じる。

比較④ 1人あたりの完成工事高

次に1人あたりの完工高をグラフにしました。算出についてはセグメント別の人数は分からないので単体企業の全体での完成工事高を従業員数で除したものです。

(単体完成工事高)÷(従業員数)

サブコン 従業員1人あたりの売上

単体セグメントでの上位2社である高砂熱学とダイダンに関しては順当といったところでしょうか?高単価の仕事を受注出来ているという評価ができると思います。

続いて東洋熱工業、朝日工業社、斎久工業となります。ここでは朝日工業社を基準とした場合、東洋熱工業と斎久工業はより少ない人数で同程度の売上単価を上げていることになります。単純に高単価な受注ができているのか、人員効率がよいのか、現場に負担がかかった状態がまん延しているのか評価の仕方が分かれるかもしれませんが、平均年収を見るとそれなりに出せている(斎久工業は全従業員なので総合職に限ると+100万程度になると思われます。)のでそこまでネガティブな状況には無いと思われます。

新日空と三機工業については同じ三井系の企業で同じ程度の数字となりました。この辺りは仕事の受注の仕方や利益の取り方が似ているのかもしれませんね。

日比谷総合は従業員数は東洋熱工業と同程度ですが、単価は低いようです。平均年収が他社と比べて少なめになっていることを考えると高単価の仕事が取れていないのではないでしょうか?

大気社は意外と低い単価となりました。おそらく塗装プラント事業と絡めた受注をしているのではないでしょうか?

そして次にようやく新菱冷熱が出てきます。ここも水族館・地域冷暖房・プラント関連で完成後も関わりが持てる工事が多数あるため受注金額は控えめになっているかもしれません。もう1つは非上場企業であるため上場に関わる費用が掛からない事も寄与しているかもしれませんね。この辺りは資料が少ないので考察は困難でした。

最後に三建設備です。明らかに単価が少ないと思われます。この企業だけHP上に従業員の内訳を掲載しているのですが、技術系885名に対し事務系346名となっています。事務系が多すぎるか、高単価の仕事がとれていないか様々な評価の仕方ができるかと思います。しかしここも非上場企業で資料がないため詳細は不明です。ただ施工実績から考えると確かなものは持っているはずなので、営業方針か会社の体制のどちらかに改善の余地があるのではないでしょうか?

従業員あたりの完工高で比較

  • 高単価かつ平均年収が高い企業は効率のよい経営をしている。
  • ある程度企業の受注の仕方が見えてくる。
  • 三建設備については営業方針か会社の体制に関して改善の余地あり。

最後に

空調・衛生工事主体の大手・準大手サブコンを様々な数字を交えながら紹介してみました。いかがでしたでしょうか?

半ば就活時の業界研究のような内容になってしまいましたが、調べていく中で様々な学びがありました。会社のイメージだけでは無くデータを比較することで違った側面も見えてきます。

特に上場企業では有価証券報告書を必ず発行しています。そこには詳しい業績や今後の展望も掲載してありますので就活・転職活動以外でも企業の事を詳しく調べたいという方は覗いてみる事をおすすめします。毎年6月頃に前年度の有価証券報告書が発行されますので、引き続き比較をしてみたいと思います。