【サブコン各社を徹底調査】大手空調・衛生設備各社の特徴と比較 2022年度版

業界・キャリア

サブコン各社を比較

ここからは紹介してきた各社の様々なデータを比較してみます。表でまとめて見ると様々な側面が見えてきますが下記の表は連結の完成工事高等、有価証券報告書に記載の様々なデータを並べたものです。
2022年度と比較して10%増えたものについては赤太文字、10%以上低下した項目については青太文字で表現しています。

会社名完工高(連)完工高(単)設備事業の売上従業員数(連)従業員数(単)平均年収1人あたりの売上
高砂熱学338,831244,149244,1495,8852,166944.8112.7
新菱冷熱259,072199,166非公開5,3482,245894.088.7
大気社214,793133,342127,3144,8901,611965.782.8
三機工業190,865169,116166,6442,6272,073877.281.6
ダイダン185,961179,619179,6191,8301,645898.3109.2
新日空112,23495,17995,1791,6081,132957.184.1
日比谷83,97873,56773,567966805971.291.4
三建設備非公開82,71782,717非公開1,245799.066.4
朝日工業80,17177,45872,397993946846.581.9
東洋熱非公開81,98481,984非公開815934.0100.6
斎久非公開48,17048,170非公開483763.099.7
単位:百万円

比較① 2019-22年度 完成工事高

ここからは表を項目別にを紹介します。

直近4年分のデータを比較して新型コロナウィルス感染症の影響が大きかった時期と比較できるようにしています。
なお各データは2022年度の実績が大きかった順に並べています。

まずは連結での完成工事高です。

続いて2022年度単体セグメントの完成工事高。

各社コロナ最盛期だった2020年度実績から比較して順調に伸びてきています。
特に業界最大手の高砂熱学工業やダイダンについては新型コロナウィルス感染症の影響前よりも高い業績を残しています。

朝日工業社はまだ復調しないと見えてしまいますが、2019年は大型の特殊物件があった影響もあったでしょうから、実際は順調と言ってもよいと考えます。

一部伸び悩んでいる会社はありますが、新型コロナウィルス感染症の影響からは脱却したと言ってよい状況になってきました。

なお、毎度おなじみ大気社は連結事業では大きい数字となっていますが、設備単体セグメントで見ると大きく順位を落とします。
設備工事以外の仕事も多いということで、評価の仕方を考える必要がある点は注意です。

完成工事高から情勢を見る
  • 新型コロナウィルス感染症以前の状況かそれ以上の実績が出てきている
  • 完成工事高重視だったリーマンショック以前の実績値にも近づいている

比較② 2019-22年度 受注高

2021年度の受注高推移で復調の道筋が見えてきていまいしたが、2022年度はどうだったでしょうか?

2023年度以降の実績を予想するのに重要な受注高を比較していきます。(三建設備と斎久工業は情報がありませんので割愛。)

まずは連結の場合の比較

続いて設備セグメント単体の比較。

業界最大手(高砂~新日空)については大きく伸びていた2021年度よりもさらに大きく伸びています。

準大手(朝日工業社以下)も順調ではありますが、大幅と言っていいほどには伸びていません。

最大手が多忙すぎて受注を断っている状況という話は耳にしていますが、では準大手が変わりを担えるほどの物件があるか?という感じはします。

高難易度・高収益物件は最大手に偏っており、準大手は最大手の受け皿までにはなれていないのではないでしょうか?

受注高から情勢を見る
  • 大気社が大型の物件を受注し、伸びが顕著
  • 伸び悩んでいる三機工業も順調に受注している
  • 国内・海外ともに経済活動は活発な模様で最大手は受注を断っているほどの状態
  • 準大手は伸びきれていないので、最大手の受け皿にはなりきれていないか?

比較③ 2019-22年度 平均年収推移

2022年度、2023年度と大幅な賃上げを実施した新菱冷熱が話題になりましたが、2022年度実績はどうだったのでしょうか?

ここ数年は大気社が1,000万円超えを継続していましたが、ついに1,000万円を下回ってしまいました。

変わって大きく伸びてきたのが日比谷総合設備です。
2019年度は業績が良くなかったこともあり、本サイト比較で最下位の平均年収でしたが、なんと2022年度は最も高い数字となりました。

その伸び率、2019年度比較で50%以上・・・

新菱冷熱にあっては6%、さらに続いて8%の賃上げを行いましたが、実際の平均年収は下がっていました。
おそらくですが、人を集めるのに基本賃金をあげてボーナスで調整しているのですね。
すると現場員の年収は大幅に下がっているような気がします・・・

平均年収から情勢を見る
  • 大気社が下がり、変わって日比谷総合設備が大手サブコントップの平均年収
  • 新菱冷熱は賃上げ実施したが、ボーナスで調整している模様
  • 完成工事高は上がっていてもコストアップもあり、大幅に賃金には反映させられていない

比較④ 2019-22年度 1人あたりの完成工事高

従業員1人あたりの完工高についても2019-22年度で比較してみます。算出条件は以下の通りです。

(単体会社完成工事高)÷(従業員数)

2019年度から集計していますが、コロナ禍では伸び悩んでいた数字も、受注高の回復によりもとに戻ってきました。

相変わらず高砂熱学工業とダイダンは安定的に良い数字となっていて、その技術力・営業力・組織力で効率的な経営ができているのでしょう。

一方業績も伸び悩んでいる三機工業・新日本空調は今は苦しい状態かもしれません。
大幅なブレがないので継続的に受注はできていると思うのですが、従業員の数に対して稼げていないという評価です。

従業員あたりの完工高から情勢を見る
  • 高砂、ダイダンは安定に高売り上げを継続
  • 東熱、斎久は振れ幅が大きく、大型物件の規模で左右
  • 三機、新日空は徐々に厳しい状況

最後に

いかがでしたか?2022年度版として空調・衛生工事主体の大手・準大手サブコンを様々な数字を交えながら紹介してみました。

色々な数字を比較することで多くの考察ができるのが面白く、すっかり私のブログ記事の中でもアクセス数が多いシリーズとなりました。

なかなかこういった記事は他のサイトでは見ないと思いますし、何かの参考になれば幸いです。

もう4年分も数字をまとめていると、高砂熱学工業・ダイダン・新菱冷熱工業あたりの安定的に成長しながら稼げる力は改めて凄いと感じますし、やはり準大手は振れ幅が大きいので働き方はもちろん生活設計は大変というような印象をもちます。
(それでも中、小規模会社より圧倒的に好待遇ではあると思いますが)

2023年度以降は賃上げやコストアップの影響、値上げして受注した結果などが見えてくると予想していますが、はてさて・・・