設備施工管理が取得しておくべき資格7選 ~重要度と勉強時間の紹介~
ここでは(空調・衛生)設備施工管理者が取得しておくべき資格と、その概要・勉強時間などを紹介します。詳細は個別に記事にしますので今回はざっくりと行きます。また記載している勉強時間は設備の施工管理をしている人が受験資格を得られてからの目安時間としています。
- 現場配属になった、これからなるので必要な資格を知りたい。
- どのくらい時間を割いたらいいか分からない。
- 色々取ろうと思っているけど順番が分からない。
- 時間が余ったので何か取っておきたい。
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1級管工事施工管理技士
重要度 | ★★★★★ |
難易度 | ★★★ |
勉強時間 | ~150時間 |
主催団体:一般社団法人 全国建設研修センター https://www.jctc.jp/
設備工事の施工管理を行う上で必須の資格です。この資格が無いと一定以上の金額の現場で配置技術者になれません。(=現場で指導・監督できない)おそらく上司からも常々取れと言われているのではないでしょうか?
試験内容は筆記試験と実技試験(記述試験)となっています。筆記は過去問をとにかくやって慣れる感じですね。実技については普段施工管理経験の少ない設計の方なんかは苦戦しているのを見ますが施工管理者は普段の業務で慣れた内容が出題されるので、きっと難なく突破できると思います。
この資格をとってようやくスタートラインです。運転免許証みたいなものだと思ってください。ここから配置技術者として、自分の現場をマネジメントしていくことが出来ます。なお現場代理人は無資格でも出来ます。が、配置技術者を別で手配必要であったり、所属会社の人数も限られているので取っておきましょう。
建築設備士
重要度 | ★★★★ |
難易度 | ★★★★ |
勉強時間 | ~400時間 |
主催団体:公益財団法人 建築技術教育普及センター https://www.jaeic.or.jp/index.html
1級管工事施工管理技士は空調・衛生などの「管工事」のプロになります。建築設備士は建築士法で定義されていますが、ざっくり言うと建築設備全般に関して建築士のアドバイザー的な人です。建築士として設計ができる人ではありません。
設備設計は意匠とは異なる担当者や会社で作図しています。建築士の資格を持っていないけれど、設備設計業務に携わっている人にとってはスキルを証明するものになりますので必須の資格になるかと思います。
私は施工管理を職務としている人にも特におすすめしています。というのは、1級管工事施工管理技士だけでは市場価値を考えた時に横並びとなってしまうためです。この資格を現場しながら取得している人は珍しいので、社内の異動や転職を考えた時に結構差別化が図れると思います。また建築系の学校を卒業していない方はこの資格を取得することで1級建築士への扉が開けます。
昔は参考書がなかったので勉強は大変でしたが、今はたくさんありますし講習も充実していますので取得はしやすくなったと思います。
1級建築士
重要度 ★★★
難易度 ★★★★★
勉強時間 ~1000時間
重要度 | ★★★ |
難易度 | ★★★★★ |
勉強時間 | ~150時間 |
主催団体:公益財団法人 建築技術教育普及センター https://www.jaeic.or.jp/index.html
誰もがご存じ建築業界での最高位といっても良いであろう難関資格になります。この資格を取ると構造設計1級建築士、設備設計1級建築士への扉が開かれます。ただ施工管理でやっていこうとしている人にはそこまでは不要かと思います。設計業務に携わるような機会があれば進めばいいかと思います。
この資格は特に勉強を通じて建築全体への理解が深まります。設備から様々な提案をすることもあるかと思いますが、的を射た提案や発言が出来るようになると共に法律にも詳しくなります。また自らのキャリアにも箔が付く事でしょう。
しかしまとまった勉強時間と通常は学校代(数十万単位)が必要なので、その苦労と現場とプライベートを両立するのは並大抵の努力ではいきません。余裕があれば受験してみましょう。
1級計装士
重要度 | ★★★ |
難易度 | ★★★ |
勉強時間 | ~100時間 |
主催団体:一般社団法人 日本計装工業会 https://www.keiso.or.jp/
設備を理解するには、「なぜそうしなければいけないか?どうやったらそういう動作ができるのか?」ということを学ばないといけません。機器を設置したけど上手く動作しない、制御できない・・・という経験はあるでしょう。その制御の基本を学べるのがこの資格になります。一歩先のステップを目指すなら学んでおくことは必須かと思います。
私の主観ですと、普段おおまかな仕事をしている人間には難しい内容となっています。講習会への出席は必須です。しかし類似問題が多く出るので過去問を何パターンかこなせば試験としては受かりやすいかと思います。
なおこちらの資格を取って実務経験を積むと電気工事の主任技術者にもなることができます。
給水装置工事主任技術者
重要度 ★★★
難易度 ★★
勉強時間 ~50時間
重要度 | ★★★ |
難易度 | ★★ |
勉強時間 | ~50時間 |
主催団体:公益財団法人 給水工事技術振興財団 https://www.kyuukou.or.jp/
水道事業者として給水装置を建物に設置する際に必要な資格です。「給水装置」とはポンプとか配管という意味ではなく、上水道と直結している部分と覚えておいてください。上水道から建物に引き込む、これに関する水道事業者(自治体など)との打ち合わせ・工事完了後の検査への立ち会いを行います。
会社によっては協力会社さんにおまかせ、という場合もありますが、水道事業の仕組みを学ぶ事ができます。
消防設備士(甲種1類)
重要度 | ★★★ |
難易度 | ★★ |
勉強時間 | ~75時間 |
主催団体:一般財団法人 消防試験研究センター https://www.shoubo-shiken.or.jp/
消火設備を建物に設置する際に消防署と打ち合わせ・検査の立ち会いを行います。消防設備士は甲種と乙種がありますが、前者は設置、後者は作業のための資格です。
1種は水系(消火栓・スプリンクラー)になります。それなりに物量のある現場だと消火専門会社が入ってきますので任せることが多いかと思いますが、小さい現場だと消火専門会社が入らない場合もあります。その時は専門で申請と試験をやってくれる会社がありますので、申請書の作成や検査当日の試験などは任せてしまっても大丈夫です。
給水よりもかなり専門的な分野になるので基本は消火屋さんにお任せしましょう。餅は餅屋に、です。
第二種電気工事士
重要度 | ★★★ |
難易度 | ★★ |
勉強時間 | ~50時間 |
主催団体:一般財団法人 電気技術者試験センター https://www.shiken.or.jp/
一般には空調・衛生設備工事と電気設備工事は別会社で受注、同じ会社でも部署が異なりチームが違う人間が担当することがほとんどかと思います。しかし任せっきりにしていては擦り合わせが出来ているかすら分かりません。おおよそ試運転の時期になって打ち合わせが足りてなかった、なんてことも・・・。
そのため専門でなくても電気の初歩くらいは押さえておくべきで、作業のための資格ですが、これを通じて回路や図面の見方、作業の程度を知ることができます。年に複数回開催しているため受験もしやすい資格になっています。時間があれば受験してみましょう。
番外編
空気調和・衛生工学会設備士
重要度 | ★ |
難易度 | ★★ |
勉強時間 | ~100時間 |
主催団体:公益社団法人 空気調和・衛生工学会 http://www.shasej.org/index.html
特にもっているから何かできる資格ではありません。スキルの証明程度の資格です。しかし以外と知られていないのは建築系の学校を出ていない人にとっては建築設備士取得への最短ルートでもあります。
受験資格は理科系の学校を卒業している事で実務経験不要。なので入社してすぐに受験して合格すれば2年の実務経験と合わせて建築設備士を受験できます。1級管工事施工管理技士を通過するよりも早く建築設備士になることが出来ます。
やる気のある方はチャレンジしてみては?
マンション維持修繕技術者
重要度 | ★ |
難易度 | ★★ |
勉強時間 | ~100時間 |
主催団体:一般社団法人 マンション管理業協会 http://kanrikyo.or.jp/index.html
とりあえず暇だけど難関資格は時間がないという方にはおすすめです。特に新築工事を主体に携わっている人は建物が経年でどう変化していくかがイメージしづらいものです。改修に特化した資格となっており良い学習機会になります。
勉強もしやすく、工種ごとの施工ポイント、材料の使い方、トラブル事例を学ぶ事ができます。何気なく新築工事をこなしている方で、自分が指示した工法が将来どういった不具合に繋がるかの理解が深まります。
とりあえず難関資格を受けるほどの時間は確保できないけど何か取りたい、という人にはおすすめです。
資格取得の順番
まずは1級管工事施工管理技士をとる事を最優先にします。それまでの間に他の実務経験の短いものを受験するとよいでしょう。
1~4年目は「消防設備士」「電気工事士」「給水装置」を勉強しつつ、仕事全体の基礎を取得。余裕があれば学会設備士。
1級管工事施工管理技士の受験資格を得られたら全力で取得しましょう。その先は様々な選択がとれるようになります。
- 社内で現場を極めこむ
- 現場を知り尽くした設計者になる
- 転職してより環境の良い会社で施工管理を続ける
- 現場経験を生かせる別業種へ転職する
より良い条件での転職、となると建築設備士や1級建築士を取っているとさらに選択肢が増えます。管工事取得後、現場代理人を経験しながらでも取得を目指すと良いかと思います。
資格取得を面倒だと感じる方は多いですが、それでも取得を通じて様々な学びがあるので時間を上手く使って知識の向上を目指しましょう。