あと施工アンカー技術管理士試験の備忘録 ~試験内容と対策~

資格試験

あと施工アンカー技術管理士 試験 タイトル

建設現場で管理を行うにあたって様々な資格があります。空調・衛生設備工事にあたっては管工事施工管理技士が必須になりますが、管工事施工管理技士の勉強だけでは細かい作業1つ1つを理解するにはやや範囲が広すぎます。

元々職人から現場監督になった・・・という方はその職種の細かい作業のポイント等を把握しているかと思いますが、監督業だけという方はやはり細かい所までは理解していないというのが実情だと思います。

そんな中、設備のほとんどの業種に共通する作業の1つであろう「あと施工アンカー」に着目し、「あと施工アンカー技術管理士」といった試験を令和3年度に受験をしてきました。

あと施工アンカーは施工不良があった場合に被害が大きく、その重要性の割にはきちんと勉強している人は多くありません。そこで勉強しなおす意味でも施工管理をしている方々には是非受験していただきたいと思っています。

しかしこの試験は過去問が出回っておらず、その勉強方法に苦慮している方も以外に多くいます。今回受験してきた内容を思い出せる限りこちらに記載しますので、参考にしてみてください。

こんな人におすすめ

  • あと施工アンカー技術管理士を受験する予定
  • 試験の過去問がなく、勉強方法がわからず不安
  • あと施工アンカーについて改めて学んでみたい

日本建築あと施工アンカー協会 (JCAA)

あと施工アンカーに関する資格は一般社団法人 日本建築あと施工アンカー協会(JCAA)が管理・運営している民間資格になります。

日本建築あと施工アンカー協会の目的(抜粋)

日本建築あと施工アンカー協会はあと施工アンカーの品質及び設計・施工に関する調査研究及び技術開発を行い、その成果の普及を図ることにより、安全で良質な「あと施工アンカー」の供給に貢献し、もって国民生活の向上に寄与することを目的としています。

HPはこちら https://www.anchor-jcaa.or.jp/

日本建築あと施工アンカー協会 では主にあと施工アンカーについての「資格認定」「製品の認証」「調査研究」「広報」に関する事業を行っており、あと施工アンカー技術管理士もそのうちの1つになっています。

あと施工アンカーに関する資格 について

アンカー 打設作業

あと施工アンカーに関する資格は以下の通りになっています。

あと施工アンカーに関する資格

  • 第2種あと施工アンカー施工士
  • 特2種あと施工アンカー施工士
  • 第1種あと施工アンカー施工士
  • あと施工アンカー技術管理士
  • あと施工アンカー主任技士

上3つは実際に施工する方向けの技能資格、あと施工アンカー技術管理士は作業はしないが管理する方向けの資格、あと施工アンカー主任技士は第1種あと施工アンカー施工士とあと施工アンカー技術管理士を合わせ持った方に付与される資格となっています。

まとめると以下の通りです。

資格種類 第2種あと施工
アンカー施工士
特2種あと施工
アンカー施工士
第1種あと施工
アンカー施工士
あと施工アンカー
技術管理士
あと施工アンカー
主任技士
施工可能
範囲
M12以下
D13以下
M12以下
D13以下
制限なし × 制限なし
耐力試験 △※ △※
耐力試験
報告書
× ×
アンカー選択 × ×
母材判定 × ×
施工計画 × × ×
※は上位有資格者(1種・技管・主任)の立ち会いの下、耐力試験の支援作業は可。ねじ径12mmには1/2も含みます。

空調・衛生設備に限った話をすると設備配管や機器の吊り込みであれば12㎜以下の径、それ以上は重量機器で扱う範囲で、この場合は重量鳶が16㎜以上のアンカーを施工することが多いかと思います。

設備に限らず職人さんであれば「あと施工アンカー施工士」、施工管理の立場では実際に作業しないので、「あと施工アンカー技術管理士」の取得を目指しましょう。

法的な位置づけ

実は上記の資格がなくてもあと施工アンカーを施工することは可能です。はじめに民間資格であると記載しましたが、あと施工アンカーの資格は免許ではなく、技能の証明的な役割となっています。

ではなぜこの資格を勧めるのかというと、誰でも施工してよい工事でそこら中で行われているのにきちんと学んでいる人が少ないためです。実際に選定を間違ったあと施工アンカーが原因で死亡事故も起きています。

一定以上の大きさのアンカーを使用する場合は当然支えるものも重く、それが人の命に関わります。職人さんはもちろん、施工管理としてもきちんと管理・指導できるように取得しておくべきだと思います。

ちなみに、あと施工アンカー工事は建設業許可が必要な29業種のどれにも区分されていません。あと施工アンカーの専門会社が現場で作業するに当たっては鳶や土工事として登録している会社が多いそうです。

施工管理のための「あと施工アンカー技術管理士」

あと施工アンカーの写真

では具体的に施工管理の方に取得を推奨する「あと施工アンカー技術管理士はどういった資格か?」について紹介します。

日本建築あと施工アンカー協会によるとあと施工アンカー技術管理士について次のように定義しています。

あと施工アンカー技術管理士とは

工事現場におけるあと施工アンカー工事を適正に実施するため、当該工事の施工計画および施工図の作成、工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工管理を適確に行うために必要な技術能力(あと施工アンカーの耐力試験結果に関する評価を含む)を有する。


施工管理として施工計画や安全・品質管理を行うことは一緒ですね。耐力試験については実際はアンカーのメーカや専門会社から派遣してもらって現場で確認する、といった流れになるかと思います。

あと施工アンカーの事をよく知った上で業務に取り組むようにしましょう。

あと施工アンカー技術管理士試験について

あと施工アンカー技術管理士の試験は令和3年度にあっては申し込みが6月8日から7月30日まで申し込み期間があり、8月22日に試験がありました。例年は9月上旬のようです。

受験料は一般:15,100円  会員企業:7,550円となっています。

年に1回しか行われていないので、受験を考えている方は忘れないようお気を付けください。

受験資格

おおまかにいうとあと施工アンカー技術管理士の受験資格は4つに分かれます。

あと施工アンカー技術管理士の受験資格

  • 第1種あと施工アンカー施工士の資格を保有
  • 指定技術資格を保有
  • 実務経験8年以上
  • 最終学歴に応じた実務経験

施工管理の方だとおそらく第1種あと施工アンカー施工士は取ることはないので、指定技術資格か最終学歴に応じた実務経験 による受験が多いかと思います。

ここで設備に関する指定技術資格というのは「管工事施工管理技士」・「消防設備士」・「空気調和・衛生工学会設備士」や「建築設備士」などがありますので、この辺りの資格を取得したら受験を考えてみていただけるとよいのではないでしょうか?

試験内容

試験は午前と午後に分かれており、午前中がマークシートによる選択問題であと施工アンカーに関する法令、
あと施工アンカー及び施工に関する知識が問われます。

午後は記述式の計算問題となっておりあと施工アンカーの耐力及び施工管理方法が問われる内容となっています。

HPにも詳しく載っていますので合わせて確認をしてみてください。

https://www.anchor-jcaa.or.jp/license/examination/category.html

合格基準と合格率

合格基準や合格率については公開されていません。が、ある方のブログによると技術管理士の合格率は5割~6割のようです。

あと施工アンカー技術管理士試験の勉強方法・過去問

あと施工アンカー技術管理士の試験自体はある程度の実務経験と現場の常識を持ち合わせていれば、さほど難しい内容にはなっていません。

しかし、過去問は一切出回っておらず試験対策のしようがというのが現実です。

そこで、試験とは別に一般技術講習というものがあります。こちらに参加することでテキストを入手できるほか、試験のポイントをそれとなく教えてもらえます。

あと施工アンカー技術管理士だと「上級B」という区分の講習になり、令和3年度だと5月31日から6月14日までの申し込みで受講することができます。本試験と違って期間が短いので注意してください。

こちらは通年ですと2日間の講習になりますが、令和3年度に関しては新型コロナウィルス感染症の影響もありeラーニングでの学習になりました。

個人的には自分のペースで勉強できたのでこちらの方が良かったですね。ポイントと言っていた部分も実際に試験ました。

受講料は 一般:33,000円、会員企業:16,500円 となっています。

勉強時間

あと施工アンカー技術管理士の勉強時間はeラーニングで15時間程度、テキストの見直しとテキスト内の演習問題で15時間程度の計30時間程度でした。

一応私は試験慣れしているので、これを見ている皆さんが受験する場合は全体で50時間程度を確保しておくといいかもしれません。

出題傾向

どう勉強したよいかポイントを掴めず本番に臨みましたが、実際受けてみると試験の傾向が分かりましたので紹介します。

講習テキストにはレベル毎に「★」「★★」「★★★」の3つに分けて記載してあり、ほとんど「★★★」から出題されています。所々「★★」から出題されています。(安全衛生あたりは特に)そのためテキストの「★★★」を重点的に復習し、その後「★★」に範囲を広げていくと良いでしょう。

「★★★」のポイントとなる部分については講習で教えてくれるのでしっかり聞くようにしてください。

過去問について

あと施工アンカー技術管理士だけではなく、あと施工アンカー系の資格全てにおいて過去問は出回っていません。基本的にはテキストから出題されるので、じっくり理解すれば問題はないと思います。

とはいえ、私も実際に受験するまで不安で仕方ありませんでした。そのため記憶を頼りに試験問題を書き起こしましたので紹介します。

令和3年度試験の備忘録

さきほどは過去問は一切出回っていないと述べましたが、私が令和3年度に受験した備忘録をこちらに載せておきます。

試験終了後すぐにメモをとり、テキストの類似問題に印をつけて自宅で書き出したものです。

ただし回答は載せませんし、問題にもおかしい所が見られるかと思いますが、試験の雰囲気や出題傾向の参考にしていただければと思います。

あくまで非公式のものであるため、2次利用は禁止いたします。クレームについても一切受け付けませんのでご注意ください。

やっぱり過去問を一度も見れないのは不安ですよね・・・。時間の無いなかでの勉強で効率よく進めるためにも参考にしていただければ幸いです。

まとめ

いかがでしょうか?あと施工アンカー技術管理士について、その資格の意義と試験概要・対策について紹介しました。

職人さんならできて当たり前と思えてしまう工事で、一見不要な資格に思えるかもしれません。しかし管理する側もきちんと勉強をしておかないと、もしかしたら重大な事故に繋がる可能性もあるのです。

難易度は高くないものの、対策に苦慮する試験でもあるのでこの記事を参考に是非合格を目指しください!

・・・最後に。受験費用と講習会費用、それに登録料に今後の更新料。

高い・・・とにかく高い・・・。

協会の主催する講習を受けないと合格できないようになっているのは分かりますが、もう少しお財布にやさしくしていただきたいと思います。もしくは1種アンカーレベルならこの資格がないと施工してはいけないように国に訴えるとか・・・。

価値のある資格であることは重々分かります。もっと世に広まりやすくしていただく事を協会には期待しております。