職業倫理と法令遵守

日報(雑談)

またやってきました。3年ぶりの1級建築士定期講習。

通知が来たときは率直に面倒だということと、講習代12,000円が正直痛いなという思いでした。

今回はコロナの影響もあり、自宅学習の後に会場で効果測定という流れ。というわけでネットでのビデオ講義で学習をします。

分厚いテキストとにらめっこしながら解説を聞いていると、段々と熱心に聞き入るようになりました。

中でも興味深かったのは建築士の処分件数の統計。年々100に満たない処分件数だったのが平成29年になると700件を超える処分件数が。急にどうした。

これまで建築の問題というと構造・防災面での欠陥の話題が多かったように思えますが、近年は建築士の職業倫理に伴う問題をよく耳にするようになったと思います。

姉歯建築士構造計算書偽装事件から時間もだいぶ経ち、近年でもレオパレス21の界壁施工不備問題などもニュースになりました。

さらにYOUTUBEなどでも欠陥建築を取り扱うチャンネルも出てくるなど、問題が世間に晒されやすくなったことも大きいのでしょう。より一層職業倫理に対して厳しい目線で取り締まるような時代になり、建築士の処分も増加してきたのだと思います。

自分は建築士免許を持っていますが、実務では使用していません。が、これまで以上に(建築士に限らず)有資格者であることを自覚して職業倫理と向き合っていかなくてはならないと改めて思いました。

一方、最近はYOUTUBEを始めSNSでDIYで賃貸物件を修繕して貸に出すという方法をとっている大家さんが話題になっています。

もちろん無資格で取り扱っていい簡単な範囲で修繕される分には構わないのですが、中には構造体に手を加えるなど明らかに建築基準法に反する内容も見られます。

彼らは彼らなりに調べているようですが、やはり見落としていることも多く不適格であることは目に見えて明らか。一部の建築士からは指摘も受けています。

分からない事が分からないというのは本当に厄介で、これが人の命に関わる事案に及ばない事を祈るばかりです。

建築という幅広い知識を求められる仕事はプロであっても専門外なら別のプロに意見を求めます。建築設備士などがまさにそうですね。

知らないものがある事を知っている。ビジネスをする上でこれが最低限のスタートライン。ましては建築は人命に関わるもの。それ故に厳しい規則があり、運用していくには建築士が前面に立っていくのです。

そういった専門家に対して報酬を持って仕事を依頼するのは至極当然であり、削ってはいけないコストです。何でも安く、専門家に依頼するとお金がかかるから・・・知床の遊覧船沈没事故についても同じ話が言えると思います。

使用者は熟練者・専門家・技術者に対する敬意と見合った報酬を。熟練者・専門家・技術者はそれに見合う日々の鍛錬と職業倫理を。

当たり前のことが当たり前に行われるような世の中であって欲しいと願うばかりです。