スーパーゼネコン2社の中期経営計画から見る今後の建設業
2021年5月に鹿島建設の中期経営計画が発表されていました。こういうものは基本的に投資家を意識して世の中のトレンドを踏まえつつ会社の成長を描いていくといったものが多いですが、中身を見てみると気になる点があったのでご紹介します。同時に少し前の話になりますが清水建設の中期経営計画についても取り上げたいと思います。
鹿島建設中期経営計画
https://www.kajima.co.jp/ir/newplan/index-j.html
資料は企業HPから入手願いますが1ページだけ紹介します。2023年に向けた主要な施策の1つに「原則二次下請までに限定した施工体制の実現」と謳っています。
国土交通省の「重層下請構造の改善に向けた取組について」(https://www.mlit.go.jp/common/001236203.pdf)を見ると、アベノミクスで建設業が盛り返し始めた頃の調査で3次下請け以降の賃上げが緩いという調査結果が出ていたようです。
加えて鹿島建設が独自に行っていた実態調査を踏まえての発表かと思いますが、正直な感想は2023には実現不可能だろうと。
たたし中期経営計画に入れるほど真剣に検討していると考えれば近い将来、もしかしたら10年程度以内には実現するのかもしれません。おそらくスーパーゼネコンは横並びで対応してくるでしょうから業界の構造改革は必至と思われます。
清水建設中期経営計画
https://www.shimz.co.jp/company/about/strategy/#sec4
清水建設は2030年までに売上に対する非建設業の割合を上げていく方針だそうで、記載はありませんが2030年には35%にするとのことです。
おそらく建設需要も今後頭打ち、人口減少も踏まえると需要も減っていく一方であるため他事業も合わせた事業展開をしていく方針のようです。
具体的には何をするかと言うと、建設技術や運用ノウハウを生かした施設支援、省エネ機器を増額無しで導入して浮いたランニングコストから回収、エネルギー提案からの小売販売等が挙げられています。
中でも建物OSという開発を行っていますが、建物の需要に合わせて建物のシステムをアップデートしていくそうです。この話についてはとある講演で聞いた話が印象的で
「建物の中にITがあるのではなく、ITの中に建物がある」ということを発言されていました。
私見ですが今後建物を建てて中に何かを入れる、という発想から「用途を選ばない持続・更新可能な建物」へ着眼点が移っていくのだと思います。
ぜひこちらも興味深い内容が記載してありますのでご覧になってみてください。
まとめ
業界の展望についてこういった中期経営計画からも様々なことが読み取れるのだと知っていただけたでしょうか?近い将来、今までの建設業の体制や業務からは想像がつかない変化をしていくのだと思います。
またこの2社以外、建設業以外でもこういった資料を読み込むことで世の中の流れが分かると思います。意外と仕事のヒントになるようなことがあるかもしれませんね。