現場の品質管理を見える化する(その2) ~管理事項をまとめてみよう~

品質管理見える化

前回 現場の品質管理を見える化する(その1)で5W1Hを用いた指示の重要性を記載しました。次は見える化する手順について紹介していきたいと思います。これを通じて建築現場における指示や管理の標準化を目指します。

こんな人におすすめ

  • 現場代理人になったが忙しすぎて業務が回らない
  • メンバーに頼んでも望んだ成果が上がってこない
  • 口頭指示する時間が無い、あるいは面倒
  • 代理人から指示をもらっても具体的にイメージが湧かない

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施工要領書は作っても現場では見ない

いきなり暴論かもしれませんが、立派な要領書をいくら作っても枚数が多いことや職人さん一人一人に適したまとめ方になっていないのです。現場の仕様の擦り合わせという意味で受注先と打ち合わせをする分には有効ですが、現場で持ち歩くのは非現実的です。

施工要領書はあくまで受注先、監理、施主に対する書類と割り切りましょう。現場で施工要領を浸透させるためには施工要領書とは全く別のツールを用いる必要があります。

品質管理項目を見える化して現場オリジナルの管理手順書を作成する

とはいえ各仕様をまとめたものを施工要領書とする以上、ベースがそれであるということはその通りです。そのため施工要領書を関係各人が理解しやすくなるようにまとめたもの、かつ簡素で見やすいものを作成する。これが品質管理の見える化の基本的な考え方です。

それはA4用紙1枚程度が最善です。情報量が多すぎると何が重要かがぼやけてしまうのです。

品質管理の見える化として「現場オリジナルの品質管理手順書」を作成しましょう。

その手順を紹介します。

作成手順① 根拠資料を揃える

そもそも品質管理ってどうやって教わりましたか?ほとんどの方が先輩を通じてか、施工要領書を通じてだと思います。しかし実際は様々なものを基準として品質は管理していかなければいけません。最低限以下のものを揃えてください。

  • 現場の施工要領書
  • メーカーの工事説明書、設置説明書
  • 社内の品質管理基準
  • 受注先・施主の管理基準
  • 特記仕様書の参考図書(共通仕様書、SHASE、建築設備耐震設計・施工指針等)

他にも様々な参考書があります。上記で管理基準の根拠が見つからない場合は探してみてください。(時間があればで結構ですよ。)

作成手順② 管理項目を整理する

まず管理する工事項目を決めます。例えばダクト工事と一言で言っても施工方法や仕様部材は細かく分かれます。少しですが分けてみると・・

大分類中分類用途
角ダクト共板フランジ工法空調・換気
 フランジ工法空調・換気・排煙
丸ダクトスパイラルダクト空調・換気
 フレキシブルダクト空調・換気

衛生なら例えば

大分類中分類用途
給水SUS+ナイスジョイント屋内給水
 HIVP+HIVP継手地中埋設
排水・通気DVLP+MD継手汚水・雑排水
 耐火二層管+フネン継手通気

などなど。現場によって扱うものは変わってきますが、ここの中分類と用途に沿って見える化を図っていきます。

作成手順③ 施工手順毎に何を管理するか明確にする【What】

資料が揃ったら施工要領書とメーカーの工事説明書を使って施工の手順を整理します。例えば天井配管なら

切断→バリ取り→継手の装着→配管の吊り込み

モノによっては防錆処理が継ぎ手の装着前後に入ってくるでしょうか?このように手順を大まかに分けて、それぞれの工程の何について確認するか?を明確にします。

作成手順④ 施工方法を明確にする【What・How】

例えば切断1つにしたって、バンドソー、高速カッター、シャーパーなど方法は様々です。安全に配慮すれば別に何でやってもよいのですが、やり方が増える分だけ管理項目も増えます。

そのためこの現場では何を用いてどうやって施工するのか?これを明確にします。

作成手順⑤ 管理基準を明確にする【How】

ここではメーカーの工事説明書、社内の管理基準や受注先、施主の仕様、各種参考図書を確認しながら完成形がどうなっていなければいけないかを洗い出しましょう。

職人さんが施工したとして、それをどうやってチェックするのか?例えばネジやボルトなら残りのネジ山数やトルクレンチなど方法は様々です。

管理する側が何を用いてどうやってチェックをするのか?その判断基準は何か?許容値は?これを明確にします。

作成手順⑤ 誰が施工し、チェックするのかを明確にする。【Who】

現場には様々な立場の人がいますよね?現場代理人、施工管理の社員、職長、職人さん・・・

チェック内容を決めたら実際誰がそれを実行するのか?明確にします。極端な話ですが、お互いが納得して、色々こみこみで発注しているなら全部職長さんがチェックでもいいのです。社員は写真だけ取る・・・そういった事を決めておきましょう。

作成手順⑥ どの程度チェックするのか明確にする。【How・Where・When】

全てをチェックしていてはいくら時間があっても足りません。最小の労力で行うようにしましょう。どれだけチェックするか、については例えば

  • 抜き取り率を決めて数量を決定する方法
  • 工区毎、フロア毎として場所ごとに決定する方法

などを決める事によって、いつ、どの程度のチェック・写真撮影を行わなければいけないか?が明確になります。

作成手順⑦ なぜチェックするのか明確にする。【Why】

ちょっとここだけ微妙ですが理由まで管理手順書に記載すると見にくくなってしまうため、ここだけは省略します。ただし手順書を用いた管理を説明する際に、しっかり伝えてあげてください。

理由だけは口頭、あとは紙で。この根っこの部分だけは感情を交えて指示しましょう。

作成手順⑧ 写真を使ってゴールをイメージさせる

さあポイントはまとまりました。今度はツールに落とし込む作業です。この時一番大事なのは

完成形を見る人にイメージさせられるか?

ということです。伝え方というものが重要になってきます。そしてその一番簡単な方法は

完成したものを見せる

ということです。

施工前に何を言っているのかと思うでしょうが、ここで有用なのは過去の現場で撮影した写真データです。建設現場は1つ1つ手作りではありますが、使用材料や工法というものは同じものを使っているケースは山ほどあります。

手持ちで持っていなくても先輩やグループの仲間に聞いてみてください。必ず出てきます。

写真を利用して、分かりやすい管理手順書を作成しましょう。

まとめ

もう一度まとめておきます。以下の項目を意識してください。そして写真を活用しながら管理手順書を作成しましょう。

5W1H 明確にしたいもの
What何の、何を工種、部材、使用工具
Who誰が役割分担
Whenいつ施工時期、管理のタイミング
Whereどこを管理する場所
Whyなぜ押さえておくべきポイント
Howどうやって施工方法、管理方法(目視、写真、立ち合い)
どの程度管理数量(目視、写真、立ち合い)

作成例

いかがでしたか?今回は現場の品質管をの見える化しよう(その2)として管理事項をまとめる手順を述べてみました。

でもまだイメージがつかないですよね?ここで一度ちょっとだけ作成例を載せておきます。

写真引用元:㈱長谷川鋳工所 「排水鋼管用可とう継手 施工手順」より

これは施工要領書でもなく、作業手順書でもありません。施工管理者が今の現場で何を管理するかを明確にしたものです。このように施工管理の仕事を見える化して指示をすることでコミュニケーションミスというものが劇的に減ることでしょう。是非とも現場で試して、施工管理業務の効率化を図ってみてください。