【現場力を継承せよ】施工管理の頭の中をアウトプットするために有効な事例研究法

事例・ポイント集,施工管理業務働き方,見える化

現場で生かせる技術力はどのようにしたら効率よく向上させる事ができるでしょうか?

現場の経験?技術系のセミナーへの参加?社内勉強会?今伸び悩んでいる若手も多いと思います。そして引退していくベテラン社員達・・・管理職も社員の底上げに苦慮していると思います。会社によって環境は様々ですが、1つの手段として私が実践して効果があった方法を紹介します。それは

  1. 過去の納まり、交渉のための資料をまとめて、見える化する
  2. 見える化した事例を研究して議論する

です。ちょっと肩透かしでしたか?しかしただ事例研究といっても一般的に考えられる成功事例・失敗事例ではありません。ここでは技術力の向上に効果的な事例研究の手法と働く上での心構えについて紹介します。

こんな人におすすめ

  • もっと自身の技術力を向上させたい人。
  • 若手の技術力の底上げに悩んでいる中堅。
  • ベテラン社員が引退を迎え、技能伝承に悩む管理職。

ベテラン社員の引退と技能伝承問題

まずこちらの資料を見てください。年齢階層別の建設技能者数(国土交通省推計)になります。

平成29年の段階で60歳以上の技能者(職人)がおよそ全体の1/4となっています。技術者(施工管理)も同様の傾向と見られ、2025~2030年の間にはほぼ引退していると思われます。

一方10,20代の若手技能者は全体の1/10程度です。新しく入ってくる人に対し、圧倒的に出ていく人が多く、全体の就労人数が減ると共にその技能伝承が十分にできないという現状があります

ますます人材が不足していくこの業界において技能伝承・社員の底上げは緊結の課題となっています。

人材育成は緊結の課題

  • 数年以内に全体の約1/4の人材が引退する。
  • 引退するのは熟練者たち。
  • 技能、知識が途絶えることに対して対策が必要。

ベテラン社員に残して欲しかったもの=自分たちが今残すべきこと

私の勤めている会社でも毎年多くのベテラン社員が引退されており、その度に

もっと多くの事を学べたのでは?

もっと形に残るものを置いていってくれれば・・・

そう思います。しかし今までの会社員生活を振り返ってみてふと思いました。

自分も後輩に対して技能伝承を十分行っているだろうか?

ベテラン社員にして欲しかった事は今自分がしなくてはいけないことではないか?

そうすると自分自身の経験・仕事の仕方をもっとアウトプット(見える化)して具体的に技能伝承を図るべきだという発想に至ります。

技能伝承について振り返ってみよう

  • 後輩に対する日頃からの指導は十分だったか?
  • 先輩にもっと教えて欲しかったことがあったとすれば後輩も同じ
  • 自分の仕事の仕方を見える化して人材育成に繋げる。

事例研究でより多くの人材に技能伝承

ではどうやって技能伝承を図っていけばよいでしょうか?効果的だとまず思いつくのはマンツーマンで鍛え込むということでしょうが、多くの人材に対して効果的に伝承するには不向きです。過去の経験を引き出して見える化する=事例収集を行い、蓄積することが現実的にも負荷の少ない施策になります。

現場の事例というと

  • 参考にすべき良い納まり(成功事例)
  • 事例気を付けるべき失敗事例

こういったものが挙げられ、それなりの規模の企業であれば資料として蓄積されていると思います。しかしそれら以外でも現場を進めていく中で

  • 検討を進めたが没になったもの
  • あまり大声では言えない納め方をしたもの
  • 条件によってはNGとなるもの

こういったものもあります。さらに建築現場の業務はそれだけではありません。

  • 工事金額増減の折衝
  • 曲者担当者との打ち合わせ方法
  • 職人さんとの調整の仕方

これらも重要な業務であり、自分の仕事の仕方も立派な事例です交渉に使った資料をアレンジする等して見える化を行いましょう。

こういったものを事例研究しよう

  • 成功事例・失敗事例
  • 微妙だけれど上手くいった納まり
  • あまり大声で言えない話
  • 金額交渉など折衝に使用した資料
  • メーカーと協力して検討した資料

1番の教材は成功事例でも失敗事例でもない

蓄積された成功事例、失敗事例で勉強会を開く、マニュアルを作成する等によりノウハウを共有することがあると思います。もちろんそれらも効果的な手段なのですが、これらを頭に入れるだけでは人は育ちません。例えばマンツーマンであれば必ず教える内容についての背景を伝えるはずです。

今回は○○として教えたけれど、△△の時は別のやり方があるよ

別の方法も正解なのだけれど、こういった事情で今回の納まりにしたよ

というように単純に知識ではなく、教える側は考え方も合わせて伝えます。つまり伝承するべきは成功事例や失敗事例そのものではなく、そこに至るまでの思考なのです。事例を水平展開してお終い、ではなくその背景の思考も合わせて伝えればより一層の効果が望めます。そのためには今現在最前線で検討している、検討した事例を持ち寄って議論することが効果的です。

大切なのは思考の伝承

  • 成功事例・失敗事例の裏側にある思考を共有する。
  • 現場業務に関わる事例をそれぞれの考え方で議論する。
  • 現場最前線で検討している資料を用いる。

会社のエースでもお荷物でもない「普通」の人たちの思考を共有

先にも述べましたが現場最前線で活躍している人たちの事例を持ち寄りましょう。そこには会社のエースでもお荷物でもない「普通」の人たちの思考が潜んでいます。多くの「普通」の社員を底上げするならばこういったものはなかなか表に出てこない情報の方が多くの学びがあるのです。成功事例や失敗事例も大事ですが、スマートでない事例を共有・研究しましょう。

本サイトにも事例集としていくつか事例を掲載しています。「あっ、そうか」で終わるものもあれば何とも言えない微妙な事例も掲載しています。参考にしてみてください。大切なのは中身そのものよりも議論です。

事例集のページ https://sub-siteforeman.com/category/case-study/

ブラック事例を用いて議論をする

冒頭に戻ります。ベテラン社員に残して欲しかったもの・・・それらをベテランになってからではなく今やりましょう。

最前線で活躍している主任・係長クラスが一番生きた事例を持っています。そして一番若手に寄り添える立ち位置です。率先して技能伝承に取り組んでください。思考が共有できていれば自分がマネジメント側になった時に組織がスムーズに動きます。主任・係長クラスが中心になって事例研究を行ってください。それを積み重ねていけば層の厚い組織となり、自身が定年を迎える際にも伝える事は無くなります。心おきなく引退することが出来るとでしょう。

と、表向きはそう言いたいのですが裏があります。それは事例を持ち寄って議論していると中には

管理職の耳に入るとよろしくない事例=ブラック事例

が出てきます。もちろん企業倫理に欠けるものだったり、根本的に問題のあるものは管理職に報告して下さい。ただ多くの普通の人が壁にぶち当たるのはブラックな事例になるかならないかの境界の部分です。その部分を経験者が持ち出して議論して事前に考えさせることによって、当事者になった時の悩みや苦労が軽減されることでしょう。

みんな大変、同じ悩みを抱えている・・・だからあなたも頑張って・・・

そういった気持ちは分かります。しかし、みんな大変で悩んでいるのならそれを乗り越えた人が率先して自分の経験を見せていきませんか?同じ苦労を後輩にさせますか?

少しでも後輩者のために。あなたの経験・知識・思考を見せる化してください。

いかがでしたでしょうか?人材育成・技能伝承についての課題と今からできる事例研究の方法について紹介しました。人材育成はどこの企業でも課題になっており、これはほんの1例です。他にも方法はたくさんありまずが、まずは日頃から技能伝承を意識した働き方、頭の中の見せる化を習慣づけましょう。