【ゼネコンとサブコンの違い】建築設備の施工管理は本当に激務? ~業務のペース配分の仕方~

施工管理業務働き方,工程

【ゼネコンとサブコンの違い】建築設備の施工管理は本当に激務?~その特徴と実態~でもご紹介しましたが、設備の施工管理は忙しいのは事実です。しかし現場に着任してから終わるまでずっと忙しさは続くのでしょうか?

違いますよね。最初は職人さんもおらず検討・打ち合わせだけ。職人さん入ってくるまでは~・・・

そんな発想だから忙しくなるのです。

ここでは着任してから竣工まで、どういったペース配分で業務に取り組んだら良いかを紹介していきます。

こんな人におすすめ

  • 現場代理人で現場を任されている
  • 配管作業が始まったら連日終電、帰れない
  • 竣工間際に何人も応援を呼んでいる
  • 建築と細かい納まり調整が取れない
  • 現場が炎上するのを何とかしたい

関連記事

忙しさ度のイメージ

設備施工管理が着任してから竣工までどういったペースで業務が進んでいくでしょうか?

最初は検討事項も少なく、期限も長いので17時退社でのんびりと検討。飲みに行ったりもしてゆっくりと仕事をします。

職人さんが入ってきたらスイッチを切り替えて図面のまとめ、細かい打ち合わせ、現場管理・・・最後は忙しくなるので応援を呼んで何とか納める。

多くの設備施工管理者はそんなイメージでいるのではないでしょうか?私も最初はそう思っていました。忙しさ度をグラフで表現すると次の通りです。

忙しさのイメージ最初はのんびり。次第に忙しく。

施工が進んでくると多忙を極めるので、グラフ縦軸の100を超えるあたりで応援、増員をします。

最後はみんなで徹夜して竣工。頑張りました!

現場を楽に進めたい方はこの概念を捨てましょう。

先手必勝

現場で大変な思いをせずに思う通りに進める方法・・・結論から行きます。

施工前に全ての検討を終わらせる

これです。

細かい説明はこれからしますが、下のグラフのようなペース配分にしましょう。

忙しさのイメージ。最初に全力。あとはのんびり。

とにかく先手必勝です。最初に限界まで進めてください。

決め事を先延ばしせず

職人さんが乗り込んだら現場管理に集中し

最後は試運転、書類に徹する

こうすることによって現場を無理なく進め、安全に、品質も良く納める事ができます。

業務のペース配分の仕方

先手必勝で業務を進めていくためには3つの軸があります。

業務を進める上での3つの軸

  • 業務の洗い出し(見える化)
  • 人数の配置の見直し
  • 決め事を先延ばしにしない

これらを細かく見ていきましょう。

業務の洗い出し

設備施工管理の業務を大まかに分けていきましょう。

施工前、施工中、竣工前。ざっくりと。そしてそれぞれの段階での業務を洗い出してみます。

施工前施工中竣工前
・予算の見直し
・現場VE案作成
・施工検討会の参加
・施工図の作成
・施工要領書の作成
・安全書類の作成
・各種計算書の作成
・機器の発注
・業者選定
・諸官庁協議
・確認申請図修正応援
・品質管理
・安全管理
・工程管理
・資材発注、管理
・納品検査
・安全書類の管理
・中間検査の立ち会い
・請求処理関連
・予算管理
・写真整理
・完成検査の立ち会い
・試運転調整
・試運転帳票整理
・写真整理
・竣工書類作成
・追加増減精算




ここで1つ気づきませんか?

施工前は検討項目が多いのに対し、施工中・竣工前は機械的な作業が多いですね。

つまり、検討さえ終わってしまえば後は流れ作業で現場は進んでいくのです。

忙しくて大変なのは検討を先延ばしにして施工中にも検討を続けているからそうなるのです。だから後戻りも増えるのです。

人数の配置の見直し

問題です。貴方が竣工間際になって応援に来てほしい人ってどちらでしょう?

  1. 少し現場見ただけで全てを把握し、どんどん職人さんに指示できる代理人クラス
  2. 指示を与えないと動けない新人、若手

誰だって1ですよね?でも残念ながらそんな人は都合の良いタイミングで来たりしません。おおよそ人数合わせの2になります。

何人増えても指示・指導する人間が増えてしまい、代理人の仕事は一向に減りません。さらには応援に来てくれた人間のポテンシャルを存分に発揮できないため、作業した時間が業務の進捗と比例しないのです。

なので、竣工間際で人を入れるとしたらデータ測定、写真整理、帳票まとめ、この辺りをまとめてくれる人間ということになります。これなら新人でも出来ますね。でも現場についた火は消えません。

では施工前はどうでしょう?施工前の時間の特徴は

途中で他の作業が入ってくる割合が少なく、その作業に集中できる時間が長い

これが一番の特徴です。つまり

  • 自分のペースで業務に集中できる
  • 新人でも腰を据えて指導する時間がある。
  • 図面担当者も製図に専念できる。

ということで作業した時間に比例して業務が進みます

だから人を入れるなら施工前の時期が一番なのです。

決め事を先延ばしにしない

3つめは決め事を先延ばしにしないということです。とはいえ、建築が詳細を決めない、図面を描かないからこちらも進まない・・・と言いたいでしょう。

これも間違いです。決めてくれない人に合わせてしまうからこちらも巻き込まれるのです。

これには対処する方法もありますので参考にしてください。

検討が進まない時の対処法

  • 建築の詳細図も設備で描く(全部ではなくても)
  • 期限を切って打ち合わせをする
  • 相手が期限を守らないようであれば設備の検討を正とする旨を議事録に残す

この3つを実行しましょう。

検討期限は施工に間に合うかどうかではないのです。多くの問題を解決しないといけないので1つの検討にいつまでも時間を取ってはいけないのです。

施工に入ったら現場確認だけ

段取り八分といいますが、施工管理にとっての段取りは検討を全て終わらせることです。

少なくとも8~9割程度済ませていれば職人さんが乗り込んでも、現場の確認だけしていれば良いのです。それでも1日中作業を見ている訳ではないので、写真整理、資材発注などは日中に済ませておけます。

そして17時に事務所に帰ってきたら翌日の準備だけして18時には帰れます。だって検討するものは無いのですから。

応援は現場に火が付く前に

それでも場合によっては現場に火が付くこともあるでしょう。24時間稼働になったりゼネコンが大幅に増員したりすると打ち合わせが追い付きません。

そういった事が予測された段階で会社にヘルプを出して下さい。完全に後手に回る前に人が増えればピークが来る前に現場に慣れてもらう事も出来ます。お尻に火がついてからだともっと多くの人手が必要になってきます。

いかがでしたか?今回は現場に着任してから竣工するまでの業務のペース配分について述べてみました。どうしても相手あっての仕事ですが、やり方次第では世の中で言われているほど厳しい仕事ではありません。

代理人になった際には計画性をもって現場のマネジメントを進めたいですね。