【失敗事例から学ぼう】建築設備の施工トラブルに関する参考書3選
どんなに勉強を重ねようと経験に勝るものはありません。建築設備の施工管理を行う上で様々なトラブルを経験することで技術者として成長できることでしょう。しかし、過去に起きた事例を知ることで事前にトラブルを回避できる可能性もあります。勤めている各企業でも様々な事例の蓄積を行っていることでしょう。しかし触れる情報に限りもあるのも事実です。
ここでは書店等で発売している建築設備のトラブル事例にまつわる書籍の紹介をしていきます。是非他の組織の視点でまとめられた情報を通じて知見の向上に努めていただきたいと思います。
- 建築設備の施工管理に従事して3年程度経過した人
- これから現場代理人を経験する人・または現場代理人
- 品質事故について幅広い知見を取得したい人
建築設備の「なぜ」がわかるトラブル解決マニュアル【オーム社】
まず紹介するのは一般社団法人 建築設備技術者協会が編集しているこの一冊。建築設備における不具合が発生した場合に起きている現象が何なのか?分からなければ原因の追求には踏み出せません。調査にあたり仮設を立て、その筋書き通りに調査を進めます。
本書ではその解決に向けた調査のやり方、結果の分析手法を空調・給排水・電気・腐食・騒音・劣化の41項目もの実例を交えながら紹介しています。その項目毎に特性要因図を用いた細かな仮説や測定データの結果を細かく解説をしているのが特徴です。ベテラン技術者のノウハウが惜しみなく掲載されており、手元に是非とも置いていただきたい一冊になっています。
失敗から学ぶ設備工事【森北出版】
続いては株式会社テクノ菱和が実際にあったトラブル事例をまとめた一冊です。こちらの会社の社内技報がベースとなっており恥ずかしいと思うような事例も積極的に公にしています。経験豊富な団塊世代の離職に伴い伝承が上手くいかないことを危惧し、情報の共有化を行うべきという観点で発行されました。
「設計計算」「機器・空調機」「ダクト・送風機」「ポンプ」「配管」「腐食」「騒音」「結露」「メンテナンス」「電気・自動制御」「クリーンルーム」と多彩な項目が掲載されています。人は痛い思いをしないとなかなか身につかないものですが、他人の起こした失敗を当事者として理解してもらうことをコンセプトに見やすくポイントを押さえた分かりやすい一冊になっています。
図解 建築と設備の接点:トラブル予防のツボ【学芸出版社】
こちらは一般社団法人 日本建築協会が企画し、竹中工務店の設計部門で活躍されていた3名の著者が執筆しています。高度化していく建築設備に関して前線で頭を悩ませ、実際にトラブルに巻き込まれながら解決に導いてきた方たちのノウハウが詰まっています。
騒音・振動・漏水・結露・臭気・メンテしにくい状況等、様々な問題に繋がりやすい建築と設備の「接点」(取り合い)について予防方法をイラストで図解にしています。そしてその具体例はなんと100項目。計画や納まり検討をする上での注意事項がまとまっており設備の設計者・施工者どちらにも手元においていただきたい一冊になっています。
いかがでしたでしょうか?この業界に従事していてトラブルに合ったことが無いといった方は皆無かと思います。教わったこと、勉強したことで自分の中で「当たり前」を作ってしまい考える習慣を辞めてしまう事は人間誰しもあると思います。まだ知らない事がたくさんあるといった前提で積極的に情報を探しにいきましょう。経験の積み重ねに勝るものはありませんが知識の集積・多くの情報に当事者感覚で触れる事で多くのトラブルを未然防ぎ、いざという時も動じることなく対処ができると思います。買って手元に置くだけでも違うと思いますのでこの機会に是非手に取っていただきたいと思います。