【配管・ダクトの防火区画】貫通処理とロックウールの充填密度

品質管理貫通部,防火区画

モルタルを充填?ロックウールを充填?それともグラスウール?異種用途区画?スパンドレル?って何?

防火に関する区画は不燃材料で配管回りを充填し、延焼を起こさないようしなければなりません。建築設備の施工管理に従事する方できちんと法令等を読み込んでいる人はどの程度いるでしょうか?

管の回りは不燃材を充填と教わった人もいると思います。ですがグラスウールはNGです。建築基準法や消防の通知等を見ていけばその理由にきちんと辿り着けます。

正しい理解・施工を行うため、参照するべき法令等も合わせて紹介してきます。

こんな人におすすめ

  • 防火区画は1種類だと思っている。
  • ロックウールを詰めておけばいいと思っている。
  • グラスウールでも良いと聞いたことがある。
  • 先輩から口頭でしか教わっていない。
  • 基本をしっかり勉強したい。

防火区画の種類と法令

まず最初に防火に関わる区画について述べている2つの法令を紹介します。「建築基準法」「消防法」です。

建築基準法は国土交通省、消防法は総務省が管轄しておりそれぞれ違った目線で建物の安全基準を決めています。建築基準法で取り扱われているものを防火区画と呼んでいます。

一方消防法でも防火区画には触れておりますがこれは建築基準法の引用となっており、消防独自の区画の考え方として総務省令や通知が発行されています。

建築基準法令112条

防火区画は建築基準法令第112条に記載されています。主なものは

  • 面積区画  ・・・火災の水平方向の延焼を抑えるための区画。
  • 高層区画  ・・・高層になると消火活動が困難になるため制限が大きくなります。
  • たて穴区画 ・・・火災の垂直方向の延焼を抑える区画。
  • 異種用途区画・・・同じ建物内だが建築基準法上の区分で用途が異なり、別々の建物とみなす境界の区画。
  • スパンドレル・・・面積区画、高層区画、竪穴区画に接する外壁。上階・近くの開口部への延焼を抑えるための外壁と一体となった部分。

(防火区画)

第百十二条 主要構造部を耐火構造とした建築物、法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ない場合においては、この限りでない。

 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分

 階段室の部分等(階段室の部分又は昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)をいう。第十四項において同じ。)で一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたもの

 前項の「一時間準耐火基準」とは、主要構造部である壁、柱、床、はり及び屋根の軒裏の構造が、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであることとする。

 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後それぞれ同表に定める時間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

間仕切壁(耐力壁に限る。)一時間
外壁(耐力壁に限る。)一時間
一時間
一時間
はり一時間

 壁(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分を除く。)、床及び屋根の軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除き、延焼のおそれのある部分に限る。)にあつては、これらに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。

 外壁(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分を除く。)にあつては、これに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。

 主要構造部を耐火構造とした建築物の二以上の部分が当該建築物の吹抜きとなつている部分その他の一定の規模以上の空間が確保されている部分(以下この項において「空間部分」という。)に接する場合において、当該二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に火熱による防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、当該二以上の部分と当該空間部分とが特定防火設備で区画されているものとみなして、第一項の規定を適用する。

 法第二十一条第一項の規定により第百九条の五第一号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が一時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第二十七条第一項の規定により第百十条第一号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が一時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第二十七条第三項の規定により準耐火建築物(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準(第二項に規定する一時間準耐火基準をいう。以下同じ。)に適合するものを除く。)とした建築物、法第六十一条の規定により第百三十六条の二第二号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあるものに限り、第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物又は法第六十七条第一項の規定により準耐火建築物等(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物で、延べ面積が五百平方メートルを超えるものについては、第一項の規定にかかわらず、床面積の合計五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画し、かつ、防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分(床面積が二百平方メートル以下の階又は床面積二百平方メートル以内ごとに準耐火構造の壁若しくは法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けたものをいう。第百十四条第一項及び第二項において同じ。)その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、次の各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

 天井の全部が強化天井(天井のうち、その下方からの通常の火災時の加熱に対してその上方への延焼を有効に防止することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。次号及び第百十四条第三項において同じ。)である階

 準耐火構造の壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、当該部分の天井が強化天井であるもの

 法第二十一条第一項の規定により第百九条の五第一号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が一時間以上であるものに限る。)とした建築物、法第二十七条第一項の規定により第百十条第一号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が一時間以上であるものに限る。)とした建築物、法第二十七条第三項の規定により準耐火建築物(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物、法第六十一条の規定により第百三十六条の二第二号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあり、かつ、第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物又は法第六十七条第一項の規定により準耐火建築物等(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物で、延べ面積が千平方メートルを超えるものについては、第一項の規定にかかわらず、床面積の合計千平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。

 前二項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分で、天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)及び壁の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、適用しない。

 体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分

 第一項第二号に掲げる建築物の部分

 建築物の十一階以上の部分で、各階の床面積の合計が百平方メートルを超えるものは、第一項の規定にかかわらず、床面積の合計百平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。

 前項の建築物の部分で、当該部分の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。次項及び第十四項第一号において同じ。)及び天井の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを準不燃材料でし、かつ、その下地を準不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、前項の規定にかかわらず、床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画すれば足りる。

 第七項の建築物の部分で、当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、同項の規定にかかわらず、床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画すれば足りる。

10 前三項の規定は、階段室の部分若しくは昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)、廊下その他避難の用に供する部分又は床面積の合計が二百平方メートル以内の共同住宅の住戸で、耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第七項の規定により区画すべき建築物にあつては、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備)で区画されたものについては、適用しない。

11 主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するもののたて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第十三項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するたて穴部分については、この限りでない。

 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの

 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分

12 三階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。次項において同じ。)又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。同項において同じ。)の用途に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)のたて穴部分については、当該たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物のたて穴部分については、当該防火設備に代えて、十分間防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後十分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。第十九項及び第百二十一条第四項第一号において同じ。)で区画することができる。

13 三階を法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(第十一項に規定する建築物を除く。)のたて穴部分については、当該たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。

14たて穴部分及びこれに接する他のたて穴部分(いずれも第一項第一号に該当する建築物の部分又は階段室の部分等であるものに限る。)が次に掲げる基準に適合する場合においては、これらのたて穴部分を一のたて穴部分とみなして、前三項の規定を適用する。

 当該たて穴部分及び他のたて穴部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料でされ、かつ、その下地が準不燃材料で造られたものであること。

 当該たて穴部分と当該他のたて穴部分とが用途上区画することができないものであること。

15 第十二項及び第十三項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物として、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるもののたて穴部分については、適用しない。

16 第一項若しくは第四項から第六項までの規定による一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第四項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備、第七項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第二条第九号の二ロに規定する防火設備又は第十一項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは同号ロに規定する防火設備に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅九十センチメートル以上の部分を準耐火構造としなければならない。ただし、外壁面から五十センチメートル以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。

17 前項の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。

18 建築物の一部が法第二十七条第一項各号、第二項各号又は第三項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを一時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。

19 第一項、第四項、第五項、第十項又は前項の規定による区画に用いる特定防火設備、第七項、第十項、第十一項又は第十二項本文の規定による区画に用いる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備、同項ただし書の規定による区画に用いる十分間防火設備及び第十三項の規定による区画に用いる戸は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造のものとしなければならない。  第一項本文、第四項若しくは第五項の規定による区画に用いる特定防火設備又は第七項の規定による区画に用いる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備 次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの

 常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。  閉鎖又は作動をするに際して、当該特定防火設備又は防火設備の周囲の人の安全を確保することができるものであること。

 居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の通行の用に供する部分に設けるものにあつては、閉鎖又は作動をした状態において避難上支障がないものであること。

 常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであること。

 第一項第二号、第十項若しくは前項の規定による区画に用いる特定防火設備、第十項、第十一項若しくは第十二項本文の規定による区画に用いる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備、同項ただし書の規定による区画に用いる十分間防火設備又は第十三項の規定による区画に用いる戸 次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの

 前号イからハまでに掲げる要件を満たしているものであること。

 避難上及び防火上支障のない遮煙性能を有し、かつ、常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖又は作動をするものであること。

20 給水管、配電管その他の管が第一項、第四項から第六項まで若しくは第十八項の規定による一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁、第七項若しくは第十項の規定による耐火構造の床若しくは壁、第十一項本文若しくは第十六項本文の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は同項ただし書の場合における同項ただし書のひさし、床、袖壁その他これらに類するもの(以下この条において「準耐火構造の防火区画」という。)を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。

21 換気、暖房又は冷房の設備の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合(国土交通大臣が防火上支障がないと認めて指定する場合を除く。)においては、当該風道の準耐火構造の防火区画を貫通する部分又はこれに近接する部分に、特定防火設備(法第二条第九号の二ロに規定する防火設備によつて区画すべき準耐火構造の防火区画を貫通する場合にあつては、同号ロに規定する防火設備)であつて、次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを国土交通大臣が定める方法により設けなければならない。

 火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものであること。

 閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を有するものであること。

引用元:※e-GOV 法令検索 様より

消防法での防火区画に関する通知

消防法は総務省令第40号で規定される「共住区画」消防法施行令第8条で規定される「令8区画」となります。

  • 共住区画・・・集合住宅で各戸を別々の建物とみなす境界の区画。
  • 令8区画・・・同じ建物内だが消防法上の区分で用途が異なり、別々の防火対象物とみなす境界の区画。

本当におおざっぱですが、上記のようになっていることを覚えておいてください。

防火に関する区画

  • 建築基準法と消防法でそれぞれ区画について規定している。
  • 建築基準法では大きく4種類の防火区画に分かれている。
  • 消防法は総務省令と通知の2つで規定されている。

配管回りの区画貫通部の穴埋め方法

2つの法令で防火区画が定義されている、という説明をしたところで実際に穴埋めはどうするか、について説明していきます。法令を引用してもよいのですが、なんでこんなに複雑に書くのか!?というほど理解しにくい。(法令を見たい方は下のアコーディオンを広げてみてください。消防についてはPDFとなっているのでリンクを載せています。)

20 給水管、配電管その他の管が第一項、第四項から第六項まで若しくは第十八項の規定による一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁、第七項若しくは第十項の規定による耐火構造の床若しくは壁、第十一項本文若しくは第十六項本文の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は同項ただし書の場合における同項ただし書のひさし、床、袖壁その他これらに類するもの(以下この条において「準耐火構造の防火区画」という。)を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない

引用元:※e-GOV 法令検索 様より

 給水管、配電管その他の管が、第百十二条第二十項の準耐火構造の防火区画、第百十三条第一項の防火壁若しくは防火床、第百十四条第一項の界壁、同条第二項の間仕切壁又は同条第三項若しくは第四項の隔壁(ハにおいて「防火区画等」という。)を貫通する場合においては、これらの管の構造は、次のイからハまでのいずれかに適合するものとすること。ただし、一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で建築物の他の部分と区画されたパイプシャフト、パイプダクトその他これらに類するものの中にある部分については、この限りでない。

 給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に一メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること

 給水管、配電管その他の管の外径が、当該管の用途、材質その他の事項に応じて国土交通大臣が定める数値未満であること。

 防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間(第百十二条第一項若しくは第四項から第六項まで、同条第七項(同条第八項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第九項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)、同条第十項(同条第八項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第九項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)若しくは同条第十八項の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は第百十三条第一項の防火壁若しくは防火床にあつては一時間、第百十四条第一項の界壁、同条第二項の間仕切壁又は同条第三項若しくは第四項の隔壁にあつては四十五分間)防火区画等の加熱側の反対側に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。

引用元:※e-GOV 法令検索 様より

<消防法 通知へのリンク>

消防予第53号:https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/070331yo53.pdf

消防予第344号:https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/191005yo344.pdf

建築基準法の貫通処理

ここでのポイントは2つの条文になります。

1.建築基準法令112条20項

  配管の回りはモルタルか不燃材料で埋め戻すこと。

2.建築基準法令129条の2の4

  1)配管は壁から両側1メートルずつ不燃材料とするさらに言うと指定されているもの。

  2)不燃材料でない時は国土交通省の認定工法を使うこと。

消防法の貫通処理

 ここでのポイントは2つの通知です

 1.消防予53号通知

  1)貫通部はモルタルか不燃材料で埋め戻すこと。

  2)貫通部の配管と穴埋めは一体で、区画と同じ耐火性能(建築基準法107条1号)とする。(加熱時に規定時間以上構造上問題になる変形等を伴わないこと)

 2.消防予344号通知

   53号通知の補足。埋め戻しはモルタルかロックウールとすること。

  ロックウールの密度は150kg/m3とすること。詰めた後はケイカル板か鉄板で塞ぐこと。

消防法では通知で具体的に埋め戻し方法を記載しています。一方建築基準法はかなり曖昧です。法文だけ読むとグラスウールとして実際ドロドロに溶けても問題ないようにも読み取れます。

建築基準法以外の資料

1.公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)

  多くの物件で特記仕様書にこの仕様を参照するように記載があると思います。その中で区画貫通処理については「公共建築設備工事標準図参照」とあり、そちらを参照するとモルタルかロックウールと記載(密度指定なし)されています。

引用元:公共建築設備工事標準図(平成31年度版)

2.日本建築学会刊行物 「火災安全上の区画の設計・施工の考え方」

法令ではありませんし、特記仕様書にも参照図書として指定されていることはありませんが、日本建築学会では以下のような見解としています。

「区画貫通部は防火上最大の弱点となるため、ロックウールの充填は重要である。一般に、充填密度の指定が特に無い場合のロックウール充填は、150/kgm3以上の密度とするのが望ましい

特に建築基準法上の規定はないものの標準的にはロックウール、さらに技術上は150/kgm3という数値があるということは頭にいれておきましょう。

グラスウールは実は高温に弱い

グラスウールは不燃材であり耐火性があることは知られていますがある一定以上の温度になると溶けてしまう性質があります。ロックウール工業会で行った実験で加熱時に変化する体積割合がまとめてあります。

ロックウール工業会の実験詳細はこちら→https://www.rock-wool.gr.jp/rockwool/tainetsu/

引用元:ロックウール工業会 住宅用ロックウール断熱材 より

グラスウールは400℃を超えたあたりから急激に体積が変化しているのが分かります。これはグラスウールが溶け出してしまっているためです。溶けて隙間が出てきてしまいます。

さて設備工事でグラスウールを充填するとなった場合はどうするでしょうか?おそらく多くの人は詰めやすいものを発注したり、保温屋さんに分けてもらったりすると思います。詰めやすさや手間の少なさを重視して使用すると考えている人が多いはずです。

ロックウール工業会の実験からも分かるように密ではないグラスウールは簡単に溶けてしまいます。防火区画は人命に関わります。建築基準法自体には明確には記載されていませんが、性能に限界があるということ、主だった資料はロックウールを指定しているを踏まえると貫通部の充填には用いるべきではないのです。

まとめ

以上法令から区画貫通の埋め戻しについて述べてみました。まとめると以下の通りです。

  • 建築基準法と消防法のそれぞれに規定がある。
  • モルタル埋め戻しは共通。
  • 建築基準法では不燃材料の具体的な指定は無い。
  • 建築基準法の防火区画ではロックウールとするのが一般で150kg/m3が望ましい。
  • 消防法ではロックウール150kg/m3と指定されている。
  • グラスウールは一定以上の温度で溶け出すため、防火区画の充填には不向き。

以上が防火区画貫通の配管廻りの充填についての解説になります。

これを機に正しい施工方法を実践して防火性能担保に努めましょう。

最後に、本記事を読んでいただきありがとうございました。本ブログは設備施工管理者が発信する設備施工管理者向けのブログになっております。様々な角度からお役に立てる方法を考えております。悩み事の多いこの仕事ですが、何かしらのヒントとなればと思い記事を検索できるページもご用意しています。是非そちらの方にもアクセスしていただき情報を手に取っていただければと思います。

2021年6月追記

色々調べていて分かった事がもう1つ。同じく電気工事のロックウール充填について調べてみました。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)平成31年版」では金属ダクトの防火区画貫通についてロックウール150kg/m3と明記していました。

どうやらこの類でロックウールの密度指定がないのは機械設備工事だけのようです。

引用元:公共建築工事標準仕様書(電気工事編)平成31年度版

さすがにここまでの理由は分かりません。不思議ですね。設備で使用するロックウールでも製品によっては90kg/m3程度でも防火性能を満たしているようなものもあるそうですので、そういった選択肢の多さから限定をしていないのかもしれません・・・。

もし何か分かったらまた追記したいと思います。