【実践編④】空調・衛生設備施工図の描き方 ~加湿給水管~

施工図給水

空調・衛生設備配管施工図の描き方として簡単な事例でオフィス専有部でのポイントを解説しています。今回は加湿給水管についてスポットを当てていきます。

オフィスの加湿方法は様々ですが、多くは給水管を外調機や加湿ユニットへ供給するパターンが多いですね。径が小さいので単価もそこまで上がらず正直あまり気の進まない類の配管・・・。

ですが、労働安全衛生法で事務所の空調環境には一定の基準が定められており湿度調整といった部分で加湿給水管は重要な役割を担っています。

建物の管理がしやすいように注意して施工する必要があります。ここではいくつかのポイントを踏まえて解説していきますので参考にしていただき、実践に活かしてみてください。

こんな人におすすめ

  • 現場代理人として施工図を作図・または依頼する立場である
  • 施工図を作成しても現場がうまく納まらない
  • まだ施工図作成業務に慣れていない
  • 我流で作図方法を覚えたので改めて勉強したい

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水抜きを考慮したルート

加湿を行うのは主に湿度の低い冬期になります。給水しない夏期・中間期においては配管内が死に水になってしまいます。

そのため冬期以外では配管内の水を抜き、使用時期になったら新たに水を張ることになります。

この時配管内にたまり水が出来て水が抜けきらないと、使用の際に死に水が加湿器に供給されることになってしまいます。完全に抜ききることは不可能でも極力水が抜けるような配管ルートとしなければいけません。

水を抜きやすく、管理がしやすい配管ルートを考えましょう。

自然勾配でPSまで水抜きができるように

配管が上がり下がりを繰り返したルートとなった場合、それ以上は水は流れなくなります。そのため配管ルートはPSから出発したら上がる方向としなくてはいけません。

空気を取り入れないと水は抜けない

加湿用給水を抜く場所はPS内で空調ドレン竪管などに排水、もしくは竪管の最下部での排水の2パターンが考えらます。

どちらにするかは建物の使い勝手に合わせて選択して欲しいですが、どちらにしろ考慮しないといけないのは「空気の取り入れ口」です。

満水状態の配管から水を抜くに当たって末端から空気を取り入れないと排水時間が長くなったり、もしくは排水が途中で止まってしまいます。排水管で言うところの「通気」の役割が必要です。

専有部の空気の取り入れについては多少機器側から吸ってくれるでしょうが、そこまで期待はできません。とはいえ専有部の末端全てに設けるのは現実的でもないかと。

せめて竪管の頂部にはエア抜き兼用で1か所設けてあげるようにしましょう。竪管頂部のバルブを開放してから末端の水を抜いてもらうよう取扱説明に記載します。

抜けきれない部分はフラッシングで押し出す

それでもどうしても納まり上機器直近では水は抜けきらないケースがあります。その際は加湿給水の使用開始前に機器直近に取り付けたストレーナーを利用します。

キャップを外し、水張りと同時にフラッシングをします。天井内での作業で使用中の専有部であると天井下に水が落ちることもあるので、ホースニップル+ホースをつないであげるとよいでしょう。(備品として渡したり、取扱説明にフラッシング方法を記載してあげましょう。)

このあたりは機器によって据付説明書や取扱説明書に記載があるものもありますので合わせて目を通してみてください。

VE案:樹脂管を用いた加湿給水

加湿給水管は給水管であることは衛生工事と同じですが、管径が細いので単価も低く、正直手間の割には利益にならない配管の1つです。

面倒だったり、施工スピードをあげて人工を減らしたい場合は管種を架橋ポリエチレン管などのフレキシブルな樹脂管にしてしまうのも1つの手段です。

ただし注意点としてはその管理方法を施主側が納得してくれるかという事。一般的なメンテ方法と異なるので関係各人に了承を得てからにしてください。

水抜きはフラッシングと割り切る

巻物で入荷する樹脂管はどうしても波うちしてしまいます。程度によっては水抜きの障害となります。そのため鋼管とは別の手段で水抜き方法を考えてあげる必要があります。

水抜きは行わず、加湿使用期間前に配管をフラッシングするだけとします。ポイントは

  1. 配管をループ状にしてPSに戻す
  2. 分岐は極力機器の直近で行う

この2つです。

PSに返ってきた末端部はバルブを取り付けておき、排水竪管(空調ドレン竪管等)から取り出したホッパーに排水できるようにします。

分岐から機器までの距離が詰められない場合は機器直近のストレーナーからも合わせてフラッシングするようにしましょう。

労務の手間と品質管理を天秤にかけて

この方法の利点は巻物の樹脂管とすることで継ぎ手部を極力減らすことがポイントとなります。プレファブ加工と合わせることにより、現地での加工の手間や継手の接続状態の管理といった品質管理の負担軽減につながるところが利点です。

ただし樹脂管はゼネコン・施主によっては現地接合をNGとしているところも多く、工事中に水漏れがあった場合に全交換となる場合もあります

ねじ接合だと漏れた場合でも被害は軽微ですが樹脂管継手はすっぽ抜けることもあり、その時の被害は大きいものになります。

そういったリスクも踏まえ、自社の方針と照らし合わせて採用を検討してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?一般的なオフィスビルの加湿給水管の施工図を検討する上でのポイントをまとめてみました。もう一度確認すると

加湿給水管のポイント

  • 水抜きができ、たまり水ができないルートとする
  • 水抜き時に空気の流入口を検討する
  • 水が抜けきらない場合はフラッシング(極力少なく)
  • VE案として、巻物の樹脂管を検討してもよい

こういったことになります。

加湿給水管は毎年メンテの手が入ります。あくまで使う側が管理しやすいように、取扱説明を十分に行って納得して使ってもらうように打ち合わせを進めましょう。