【実践編②】空調・衛生設備施工図の描き方 ~機器の配置~

施工図

図面全体のレイアウト調整・建築図を載せる工程が終わったらいよいよ設備情報を載せていきます。「【準備編】空調・衛生設備施工図の描き方」でも紹介した4つの項目(設計図書の整合・変更事項の調整・諸官庁協議・総合図の作成)を決めて、あるいは決めながら進めていくことになります。

設計図をただやみくもに複線にしていっても効率が悪くなります。ここでは描き出しにあたり、大まかな配置と機器の載せ方について紹介していきます。

正直ここからは使用するCADによって描き方やポイントが異なってくるのですが、なるべく共通的な内容についてまとめていきたいと思いますのでご容赦ください。

こんな人におすすめ

  • 現場代理人として施工図を作図・または依頼する立場である
  • 施工図を作成しても現場がうまく納まらない
  • まだ施工図作成業務に慣れていない
  • 我流で作図方法を覚えたので改めて勉強したい

<紹介記事>

再確認

これ以前の記事でも紹介していますが、施工する上で大事なことは「納まっていること」よりも「設計のスペックを十分に発揮できる」ことが大前提になります。再度おさらいですが以下の事を念頭におきましょう。

設計スペックを発揮するために

  • 各種制気口の位置(気流・エアフロー等)
  • 騒音・振動対策(大型機器の配置・吊り込み計画)
  • 人命に関わる設備や特殊設備用で大型のもの(排煙等)
  • メンテナンススペースの確保

何とか納めないと・・・という気持ちは分かりますが、納めた代わりに機能を損なうということはあってはならないので優先順位を見落とさないように注意です。

大まかな配置を確認

まずは設計図レベルでよいので優先順位の高いものから載せていきます。

優先順位の高い設備

  • 各種制気口
  • 各種機器
  • スリーブ
  • 排煙ダクト等の大型のダクト

排煙ダクトや特殊設備で大型のダクトになると機器と上下に配置することが難しいので優先順位は高めです。

次に設計図でスリーブも表現されているでしょうから、ここで載せておけば機器やダクトの上を配管できるか?排水の勾配は問題なさそうか?あらかた検討をつけることができます。

これらは上記の設計スペックにも大きく影響しますし、納まり上においても大きな設置スペースが必要となるので納まり検討初期段階で優先的に配置しましょう。

ちなみに画面右上にはEPSがあり、ここから執務室に多くの配線が出ていくことも考慮しています。この辺りにはラックがありそうだから機器は配置できなそうかな・・・程度で。

機器・器具の配置

ざっくりと配置したならば機器について詳細に詰めていきます。

なおTfasやRebroを用いる場合は3Dでの検討が当たり前になってきています。機器の接続口の設定機能や5面図登録(3Dデータ含む)を活かせば納まり確認や静圧・揚程計算などにも利用できます。

使用するCADによって検討上で必要なデータをどういう風に載せるか?というのは各社や個人で差が出てくるところかと思います。ここではそういった機能は無い前提で話を進めさせていただきます。

仮設開口は避けて配置

敷地に制限がある建物だとタワークレーンを建物内に配置します。タワークレーン撤去後の工程は余裕のない時期でもあるのでこういった場所に機器を配置すると事は避けるようにしましょう。

配置するとしたら丸ダクトなど比較的施工性のよいものとし、給水管や冷媒管などの圧力検査が必要な配管は避けるようにしてください。

建築では仮設計画は早い段階で練っているので着任後は速やかに資料をもらうようにしましょう。

機器型番・下端を記入

ダメが出来る部分を避けつつ機器を配置したら最低限型番・下端高さを記入しましょう。実際に設置する際や納まり検討をする場面で必要となります。

全熱交換器などではOA,EA,SA,RAの接続位置まで記載しておきます。検討上でも施工上でも誤接続防止として有効となります。

機器高さ・接続情報を記入

また機器の高さや接続口径やその位置が分かっていた方が検討しやすいので記載しておきましょう。ただし図面としては情報が増えすぎて煩雑になってしまうので、CAD上では補助線で記載すると良いと思います。

職人さんへの指示については例えば冷媒管なら系統図であったり、ドレン管の接続口程度なら配管への記載や納入仕様書などでも補足できます。現場のレベルに合わせて伝達方法を決めましょう。

ここでは検討時に間違わないよう、何回も他の資料を見直さないように載せるという感じでOKとします。

フィルタースペース・メンテスペースの確保

各機器やダクトの種類によってはフィルターが存在します。これらの引き抜きスペースの確認を行います。機器の場合は納入仕様書やCADデータに点検スペースが記載してありますので参考に、またはCAD上に表現していきます。

ただし余裕のある場合もあるので、本当に納まりが厳しい場合はフィルターの正確な寸法を調べて検討しましょう。それでも納まらない場合はフィルターを分割する方法もあります。

分割する場合は図面上、又は機器表の備考欄にでも分割フィルターである旨を記載しましょう。機械を吊る前に外しておかないと、後で大変な苦労をしながら天井内で解体することになります・・・。

振れ止め・天吊り架台の反映

耐震支持の考え方・重量によっては機器の吊り方によっては吊り材も天井内の納まりに大きく影響してきます。施工要領書にて機器の吊り込みルールは確認しているでしょうか?

一定以上の番手のファンはもちろんですが、ゼネコンの仕様によっては100kgを超える室内機も鋼材で吊るようになっています。

100kgを超えない比較的軽量の機器においても吊り棒で吊る場合は4面X字の振れ止め部材を使用することが東日本大震災以降では求められています。(建築設備耐震設計・施工指針2014年版以降参照)

そういった場合は機器の上部に配管を通すことが出来なくなる可能性もありますので先に機器の吊り方法を確認しておくことが必要になります。

日建連:「設備工事情報シート」より引用

特にX字部材は機器設置時の施工とせずに後回しにすると、本当に施工しにくく時間がかかりますので事前に図面や機器表に反映するなど事前の準備を怠らないようにしましょう。

最後に

ここまできたら一旦機器の配置に関してはおしまいになります。次に配管を描きつつ調整をしていきます。実際には他の配管とも並行作業で調整しながらの配置になろうかと思いますが、優先順位という意味で機器や大型のダクトの配置から紹介させていただきました。

もう一度ポイントをおさらいすると

機器の配置段階でのポイント

  • 各機器と一緒に大きい納まりの設備も検討
  • 仮設開口への機器の配置は避ける
  • 施工上必要な情報と作図上必要な情報を分けて書き込む
  • メンテナンス・フィルター引き抜きスペースの確保をする

この段階にくると作業時間は使用するCADや、その操作方法・図面へのこだわりによって大きく変わってきます。広く浅く紹介していることもあり抽象的な表現が多くなってしまいますが、もう少し具体的に・・・という方は以前にも紹介した記事「【操作編】空調・衛生設備施工図でCADWe’llTfasを使いこなす」から「PFーCAD事務所」様、「CAD We’ll Tfasの部屋」様も是非ご覧になってください。

近年は完全な浸透まではいってないもののBIMが普及してきており、3D以外にも様々な情報をCAD上に取り入れるようになりました。機器に関してはまだまだ手入力での情報の取り入れが多く、今回の紹介記事用の図面の準備では結構いい時間を割きました。(といっても久しぶりに本格的に触ったので機能を再確認するのに手間取っただけですが・・・情けない。)

CADに様々な機能が付属され、便利になっていく一方で機械におまかせになっていくうちに空間認識能力が育っていない若手も出てきている・・という話も耳にします。

便利なのか不便なのか分からなくなってきますが、施工図を描く上で簡単なスケッチでも描けるようになっておくべきかとは思います。そのためには自分の頭のなかでどういった納まりになっているか、一つ一つ理解し納得しながら作図を進めていかなくてはいけませんね。